内容説明
この世とあの世のあわい、神々の世界や死者の世界とは異なる「もう一つの世界」で紡がれた数々の物語。ギリシャ神話の英雄たちの異境訪問譚、この世に戻り出た亡霊など、世界の神話・伝説・文学を渉猟して読み解く、異界の神話学!!動物・植物・鳥類・昆虫・魚類・風土に続き、比較神話学の第一人者が積年の研究の圧倒的な蓄積を基に綴る第七弾!!参考図版120点余。
目次
序論
1 異界への旅(英雄たちの物語;辺境の異界;ヨーロッパの異界 ほか)
2 死の神話(神々と英雄の死;人間たちの死;神の懲罰・悪魔による死 ほか)
3 亡霊の神話(世界の亡霊譚;幻想文学の中の幽霊;怨霊名士録)
著者等紹介
篠田知和基[シノダチワキ]
1943年東京生まれ。パリ第8大学文学博士。名古屋大学教授ほかを歴任。比較神話学研究組織GRMC主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
32
世界中に分布する異界に関する神話を紹介。日常生活から乖離した場所に行くストーリーはたくさんあるが、死後にいく冥界とは区別して扱うものの、やはり伝承の中には異界と冥界を融合させたものもあり、きれいに切り分けることは難しいよう。各国の神話伝説の他、文学作品に現れたものをあわせて紹介。文字数の制限からか、紹介のされ方に違和感を感じるものもあり。「世界文学に見る架空地名事典」のハンディ版のような印象だが、ページ数の割には事例は網羅的で、絵画も潤沢に掲載されていて読みやすい。不思議な話の扉本として手頃な一冊です。2022/03/06
りー
29
一応最後まで読んだのだけれど、分類した物語の羅列が延々と続き、途中から読むのが苦痛になってしまった。物語も、神話・伝承・説話・小説等々多岐にわたり、もう少し脈絡が欲しいと思った。異界を取り上げているのに、千一夜物語が入っていなかったのは何故だろう。ただ、読んでみたいと思わせる神話や伝承が見つかったのは収穫。アメリカ先住民の星娘や、アラスカの影の国の話や月に行ったシャーマン、ポリネシア、ミクロネシアの民話。2022/05/22
遊未
6
神話の異界、死の神話、臨死体験、亡霊の神話と古今東西の神話から絵画、文学の世界までとにかく内容が膨大です。絵画の掲載も豊富で読みやすいのですが、一件ずつ懇切丁寧に解説とは無理なので多少は知識が無いと大変かも?タイトルだけしか知らなかったことについて内容がわかったり、時代による変遷がわかったりしましたが、基本怖いお話は苦手なのでちょうど良い掘り下げ具合でした。2022/07/24
in medio tutissimus ibis.
5
異なる世界にまつわる話を、その世界がどう説明されているかではなく、行き来可能なのか、一方通行であるのか(逝く話なのか、来る話なのか)という分類はなかなか面白くまた腑に落ちるものもある。中には、妖精国に捕らわれた人が何とか現世に帰還しようとするのに、神父神父の反対により頓挫する話もあって、キリスト教前後の世界観生死観(つまり、往来可能なのか)の緊張を感じられて面白い。イタリアの鉱山に七年の間乙女を人身御供(デリバーナ)や、ロシアの家中の異界である地下室や屋根裏、ペチカの裏に住むという家霊の話は印象に残った。2023/11/21
さちめりー
4
放送大学の科目 #精神分析とユング心理学 を受講後さらに関心を寄せ続けている神話のイメージ世界。図書館の新入荷棚に存在感たくましく並んでいたこの本を手に取らないわけにはいかなかった。めまいのするような膨大な世界の神話エピソードが短く羅列されていてごくたまに考察がはさまれている。ひとつのエピソードに深く想いを馳せる余裕はなかった。到底、精読はできなかったが、資料として貴重な一冊ではあるでしょう。2022/06/15