内容説明
2011年3月11日の原発事故を前に、生き物屋としての自分にできることは何かと考えはじめたゲッチョ先生。地衣類が放射性物質を体に貯め込む性質があると知り、追いかけるうちにその面白さにハマる。地衣を求めて南へ北へ、そしてついには地衣を食べて生きるトナカイが生息するフィンランドへと…。となりにいても気づかない、とっても地味な地衣を通して見えてくるものとは?
目次
序章 世界の果て
第1章 地衣類って何?
第2章 地衣類観察事始め
第3章 南の地衣探検
第4章 極北のサンゴ礁
終章 この世界がある限り
著者等紹介
盛口満[モリグチミツル]
1962年千葉県生まれ。千葉大学理学部生物学科卒業。自由の森学園中・高等学校(埼玉県飯能市)の理科教員を経て、沖縄大学人文学部こども文化学科教授。専門は植物生態学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばんだねいっぺい
27
身近な場所ですぐに出会えるコケじゃないけど、コケと思っていた不思議な菌類である「地衣類」。ちゃんと自分で勉強した上で師事する盛口さんの姿勢を真似することにした。まずは、地元の地衣類をじっと見つめてみようと思った。2019/08/19
びぃごろ
13
コケを探せば確実に目に入る地衣。ゲッチョ先生が地衣屋になるまでの歩みが綴られる。自分がコケ屋になるまでの道のりと重なり大共感。地衣屋による観察会はコケ屋よりもさらに静かなる雰囲気。いや、傍から見ればどちらも同じか(笑) 藻類と共生しているなど、ざっくりの知識はあるものの、キノコと同じ菌類であると言われ、大変興味深く読み進める。何よりゲッチョ先生のあたたかみのあるイラストが素晴らしい!!地衣類は写真よりイラストの方がイイかも⁉p153の狛犬のイラストに勝手に吹き出しを付けて一人笑う(*`艸´)2018/01/25
鯖
11
地衣類の定義は藻類と共生するという特殊な栄養法を獲得した菌類。共生する藻類が異なると見た目も変わり、名すら変わることもある。日本から南極まで分布している種もある。重金属や放射能を溜め込む性質があり、地衣類を主食としているトナカイはチェルイノブイリの際、生物濃縮を起こしたとのこと。門松や墓石にくっついていることが多いということで、イラストだけではいまいちピンとこなかったんだけど、あーアレのことかって分かった次第。写真もイラストに併記されてるとよかったなあとは思う。2018/07/28
mft
10
図書館本。昔聞いた説明では菌類と藻類がどういう関係なのか解っていなかったが、主体は菌類で抱え込んでいる藻類から栄養を貰う関係らしい(サンゴと褐藻類みたいな関係)。全体としては、その地衣類を見る目がだんだん養われていく過程の記録みたいな文章で、裏テーマが原発事故と放射性物質(地衣類に濃縮する性質がある)について。解像度が上がるとこんなに色々見えるものなのかと興味深い。今度ツバキの葉の上にアオバゴケとやらを探してみよう2024/01/03
イボンヌ
6
大きな木の幹などに付着してるのをよく見かける地衣類が、ウメノキゴケという種類だと、この本のお陰で判明した。 しかし、このウメノキゴケの仲間が日本には240種類あるらしい。2024/11/12