内容説明
神話をもたない民族はない―。私たちにも馴染み深い杉、松、欅、樅、桜、リンゴ、オレンジ、桃、蓮、ユリ、スミレから死の花ダチュラ、アンコリー(オダマキ)まで、樹木や花、果実にまつわる各地の神話伝説・昔話・民俗風習などを渉猟。さらに、日本とフランスの文学に描かれた植物についても考察する。渾身の大著『世界動物神話』に続き、比較神話学の第一人者が積年の研究の圧倒的な蓄積を基に綴る待望の第二弾!!
目次
1 神話の森
2 神話の花園
3 樹木の民俗
4 昔話の森
5 フランス文学の花と樹
6 日本文学の花と樹
著者等紹介
篠田知和基[シノダチワキ]
1943年東京生まれ。パリ大学博士。名古屋大学教授ほかを歴任。現在、HSU特任教授、甲南大学人間科学研究所客員研究員。比較神話学研究組織GRMC主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
47
資料本。フロイトの無意識に通じるものが多いのは勿論の事、ユングのアーキタイプと相通じるものも多いな、という印象を受けました。そもそもの根源は一体何なんだろう。匂いとか効能とか?世界中にある似た様な神話。だけど、微妙に違うのがお国柄なのでしょうね。日本の植物の精は物悲しい存在ではあるけれど、あんまりの呪ったり祟ったりはしない。そして、植物そのものが何かする事は殆どない。外国だと植物が主体として何かをするパターンが意外と多い。結構アグレッシブです。逆に動物が出てくる神話は外国ではどうなのでしょう。気になります2016/09/04
鯖
18
神話とはあるものの、世界各地の民話や小説にまで触れられて、広く浅く物語が語られ、著者がつっこみをいれていく一冊。眠り姫の章にカンボジアのタプロームの写真も載ってて、え、あれも眠り姫の神話っぽいのがあったんかいと思ったら、著者がガジュマルでもそれっぽいのありそうだよね~って書いてるだけだった。紛らわしいのでやめていただきたい。うたかたの日々とか久しぶりにあらすじ読んだだけで、厨二心が疼いて仕方ない。肺に咲く蓮の花。完璧である。2025/05/05
アカツキ
11
神話や文学に登場する植物に注目して語った本。ミダス王の物語の創作者と登場人物に対する著者のツッコミが冷徹。あんまりな言い様に思わず笑ってしまった。スサノオがアマテラスの農地を荒らしまわった話が、実はスサノオは焼き畑農業をしていただけという見方が新鮮に感じた。機織小屋に馬の死体を放り込んだのも別の見方があったりするのかな。2022/09/16
とし
9
世界の植物に関する神話やフォークロアを軽妙な語り口で紹介してくれる本。植物を扱った美術、文学についても触れている。前作の『世界動物神話』も読んでみたくなった。2017/09/22
kira
2
草木に関する神話や民話を比較研究した一冊。全体的に花が多め。今回は巻末に植物を取り入れた小説も取り上げ紹介している。2020/05/31