内容説明
“日本賛美”の所見にあふれるケンペルの名著を訳述しつつ、外国と向き合う根本的な姿勢を改めて問い直した警世の書。“鎖国”という語の出典として歴史教科書でもおなじみながら、良質のテキストに恵まれぬままの基本史料を、著者架蔵の写本により読みやすく活字化、その全容をはじめて紹介する。
目次
1 翻刻篇(鎖国論訳例;鎖国論上;鎖国論下;通篇大意)
2 影印篇
3 解題篇
4 参考図版
著者等紹介
ケンペル,エンゲルベルト[ケンペル,エンゲルベルト] [Kaempfer,Engelbert]
1651‐1716。17世紀末に来日のドイツ人医師、博物学者
志筑忠雄[シズキタダオ]
1760‐1806。長崎通詞(通訳)・蘭学者。学究派の通詞として、語学関係で独創的な著作を遺す一方、『暦象新書』『求力法論』など、天文・物理関係の翻訳にも精力的に取り組み、“江戸の理系力”を牽引した俊秀
杉本つとむ[スギモトツトム]
1927年横浜生まれ。文学博士(東北大学)。早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
25
元禄時代に生れたかったな。平和で、芸能、娯楽多種多様。生活豊か。食糧も医薬も充ち足りた時代。富国殖産。ケンペル(堅不留)は讃美した(5頁)。本文が脚注しかないため、鎖国論梗概を読む以外ない(91頁~)。これでもかなり難しい。秀吉は国内にいるポルトガル人の国外退去を、日本人で国外にあるものの帰国を命じた(100頁)。この間の鶴見俊輔氏の本で、岡部氏が指摘していたように、秀吉は悪人だよな。2016/01/31
kenitirokikuti
1
有名な『鎖国論』。ちゃんとした翻刻どころか印影もなかったとは知らず▲元はケンペル『日本誌』(17c末)であり、その一部を志筑忠雄が部分訳したもの(19c初頭)。2016/02/02