2020狂騒の東京オリンピック―稼げなければ、メダルは獲れない

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2020狂騒の東京オリンピック―稼げなければ、メダルは獲れない

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784822279387
  • NDC分類 780
  • Cコード C0075

出版社内容情報

弱体化が進む日本スポーツ界に未来はあるのか。スポーツを巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を「経済的観点」から分析。

新国立競技場のデザイン、建設費を巡る騒動の最中、東京五輪開催後に「新国立ジャイアンツ球場」として活用する案が浮上した。読売新聞グループが全面バックアップするも、永田町の主流派が猛反発、最終的に潰された。

経済合理性を無視してまで、新国立競技場を「国家のシンボル」に据える理由は何なのか。背景を探ると、そこには「国立競技場」に対して日本人が戦前から連綿と抱いてきたある想いがあった。

日本のスポーツ界は戦前から、「金もうけは卑しい」という価値観に囚われている。慈善事業として開催される甲子園や、観客に背を向け独自の哲学を貫く全日本柔道連盟。内紛を繰り返すスポーツ団体や採算度外視で赤字を垂れ流すスポーツスタジアムが、日本各地に点在する。米国スポーツ市場が約60兆円に成長したのに対し、日本はその20分の1の約3兆円しかない。稼げなければ、現役選手を鍛えることも、次世代の選手を発掘することもできないにも関わらず、である。

「日本のスポーツ界はいまだ戦時下にあり」????。経済記者が正面から取材をして見えてきたのは、時代錯誤のまま身動きが取れずにいる日本のスポーツ界だった。弱体化が進む市場に未来はあるのか。スポーツを巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を「経済的観点」から分析したルポルタージュ。

【1章】国家の“喜劇”
破綻の序曲/14人の重鎮たち/「困ってしまった」ザハ設計事務所/「皆で考えればいい」、JSCトップの甘い認識/“徹頭徹尾”リーダー不在/安藤忠雄の軽いノリ/国家神道の残像/新国立だけじゃない、ずさんな整備計画

【2章】遠き金メダル
甲子園200年分の売り上げ/天皇が引き出した柔道家の本音/青山霊園で黙祷捧げる4人の老人/為末大が予言、「競技団体の半数は破綻する」/村社会で権力闘争に明け暮れる/川淵三郎の処方箋/五輪メダルは“カネで買う”

【3章】戦争の残滓
汚職政治家が残した借金/丘陵地に出現した巨大スポーツ施設群/地元潤す集客マシン/21世紀の「軍国主義」/殺風景な「都市公園」/皆ハッピーになれるフットボール場/ヤンキース、本拠地一新で急成長

【4章】夜明け前
チーム1:羽生と浅田がフィギュア界にもたらす「富」
チーム2:「20億円の男」が目撃した広島カープの変貌
チーム3:トライアスロン、補助金ゼロをバネに飛躍
チーム4:バスケ界で人気断トツ、琉球キングス
チーム5:悲喜こもごも、春季キャンプで潤う沖縄

内容説明

これから、さまざまな時代と場所を行き来する。古くは明治日本を訪れ、遠くは世界最大のスポーツ市場・米国に足を運ぶ。そこから見えたのは2020年五輪を控えた日本スポーツ界のアナクロニズムだった―。経済記者が警鐘。日本のスポーツ界は、いまだ戦時下にあり。

目次

プロローグ
第1章 国家の“喜劇”(破綻の序曲;14人の重鎮たち ほか)
第2章 遠き金メダル(甲子園200年分の売り上げ;天皇が引き出した柔道家の本音 ほか)
第3章 戦争の残滓(汚職政治家が残した借金;丘陵地に出現した巨大スポーツ施設群 ほか)
第4章 夜明け前(羽生と浅田がフィギュア界にもたらす「富」;「20億円の男」が目撃した広島カープの変貌 ほか)

著者等紹介

吉野次郎[ヨシノジロウ]
日経ビジネス記者(日本経済新聞社に出向中)。慶応義塾大学環境情報学部を卒業。1996年、日経BPに入社。「日経コミュニケーション」編集部で通信業界を、「日経ニューメディア」編集部で放送業界を取材する。2007年から「日経ビジネス」編集部で電機業界、自動車業界、経済事件を担当。2015年4月に日本経済新聞社に出向。電子編集部を経て、2015年10月から企業報道部に所属。サイバーセキュリティーなどを取材する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スプリント

6
日本のスポーツ界に経済概念がないという著者の意見に共感しました。スポーツ振興という目的を失わずに市場経済を回していく取り組みがもっと必要ですね。私腹を肥やすことができないような監査の仕組みも必要だと感じました。2016/07/30

クローバー

2
アイドルと同じようなファンビジネスで、その競技で稼ぐという視点が面白かった。2021/06/14

イガラシ

2
宮城スタジアムや大分スポーツ公園に行ったことがあるが、なんでこんなにアクセスの悪い所にあるのだろうと思っていた。健康づくりを行うということが目的であるため、多額の税金を投じて作った施設が大赤字でもやめることができない。スタジアムをどのように運営していくのかを明確にし利益をあげていかないと、税金を投入して赤字を補填することになる。新国立競技場がどのようになるか。2016/08/28

EOD

2
帯の「商業主義が最強のアスリートを生む」というテーマに則って、なぜに日本のスポーツは金を「生もうとしない」のか(日米スポーツ市場は60兆円vs3兆円の差がある)を過去、現在と時間軸を渡り歩きながら考察する。端的な例としてスタジアム論にかなりの字数を割いておりこれが突破口として非常にわかりやすい。「なぜ日本は不便な場所に、人を引き付ける力のないスタジアムを濫造してしまうのだろうか」。これに興味がありかつ明確な言葉を持たないという人は一読の価値あり。批判だけでなく歴史的考察や成功例の紹介があるのがいいです。2016/01/08

Takeaki Kawakita

1
文科省が発表した2025年にむけてスポーツ市場を15兆円にするという計画を考えていく上で非常に重要な課題が指摘されています。スタジアムはスポーツ体験の一丁目一番地であることはVRやMRが普及してくるまでは揺るぎないものであるはずなので、そこをいかにドル箱に変えていくことができるかが普及や育成に繋がっていくと改めて感じました。2016/05/21

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