内容説明
長篠合戦は、織田・徳川連合軍が鉄砲三千挺を千挺ずつ“三段撃ち”し、戦国最強の武田騎馬軍団を壊滅させた画期的な戦いだったと評価されてきた。その後の天下取りの行方にも大きな影響を与え、日本史史上、新戦法=“従歩火兵戦術”が、旧戦法=“騎兵白兵戦術”を破った信長の「戦術革命」の勝利とされた。しかし、この定説には根拠がなく、後世の旧陸軍の戦史研究や、作家・歴史研究家たちが捏造したものだった。本書では、合戦の勝敗を決した「三大戦術(騎馬・鉄砲・柵)」の実像を、諸外国との比較を含めて批判し、歴史の流れを誤解させてきた元凶を洗い出す。
目次
第1章 定説・長篠合戦論への疑問
第2章 信長の新戦法と“長篠=戦術革命”論
第3章 検証・「騎馬」戦術―武田騎馬隊の実像
第4章 検証・「鉄砲」戦術と従歩兵―信長鉄砲隊の実像
第5章 検証・「柵(野戦築城)」戦術―武田軍「大敗」の実像
第6章 誤解された長篠合戦―その「決算」と「遺産」
著者等紹介
鈴木真哉[スズキマサヤ]
1936年横浜市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。防衛庁、神奈川県等に勤務。在職中から「歴史常識」を問い直す研究を続ける
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感想・レビュー
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May
3
(記録として昔の文書を)これもいわゆる「常識の非常識」本だ。今回の常識は、長篠合戦における武田騎馬軍団による「騎兵突撃」とそれを迎え撃った織田の「三段撃ち」と「馬防柵」だ。つまり、 本書は、これら三つを否定している。これらの否定のうち、三段撃ちと武田騎馬軍団の否定についてはこれまでも何度も主張されてきたことであり、私も同意するのだが、馬防柵を否定するのは初めて見たと思っていた。とにかく、これら3つの否定が、どのような根拠を基にしてどのように考えた結果の結論であるのかは本書を読んでいただきたい。2004/10/05
きこ
0
戦国時代に「騎馬隊」はなかった、というのが著者の論点のひとつ。非常に論理的で理解しやすい。戦国期の「騎馬隊」なるものの実態は、大方の人が脳裏に描いている「騎兵隊」的騎馬隊像とは全く別物だったことが分かる。2016/02/12
MAO
0
これも名著!
いちはじめ
0
長篠合戦の定説に異を唱える。なかなか説得力のある論。あるいは全部は正しくないとしても、いろいろ示唆に富む2003/05/12