内容説明
思想の継承はどのようにして可能なのか?―クサすための批評や教祖のご託宣を拝聴する類いの態度からは決して生まれない。新しい事実がつぎつぎに発見されていく時代のなかで、古くならない「思想」などあり得ないが、吉本隆明が不死鳥のように読まれていくのは、「見るものの位置」によって「対象」がまったく違って見えるからだ。「座標」と「地図」というキーワードで読み解き、思想がもつ党派性や権力性を排し、多面体としての吉本隆明の核に迫る。
目次
第1部 「座標」という発想のゆくえ(「マチウ書試論」のモチーフと発想;『言語にとって美とはなにか』のモチーフ;『心的現象論序説』について;「身体・生命・エロス」と神戸事件;「おくれ」の問題について ほか)
第2部 「地図」を求めて(地図がわかるとはどういうことか;『共同幻想論』と『古事記』;「転向論」から『共同幻想論』へ;『ハイ・イメージ論』と世界視線;「支え手」としての共同体)
著者等紹介
村瀬学[ムラセマナブ]
1949年京都生まれ。同志社大学文学部卒業。現在、同志社女子大学生活科学部教授
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