内容説明
両親を亡くした少年ネロは、アントワープ郊外に住む祖父のジェハンに引き取られた。ふたりの生活には、やがて犬のパトラッシュが加わる。牛乳運びの仕事をしながら、貧しくも幸せに暮らすネロとジェハン、そしてパトラッシュ。巨匠ルーベンスにあこがれ、ネロは画家を志す。しかし貧しさゆえに、行く手にはさまざまな困難が待ち受けていた。詩情にあふれ、長く親しまれてきた児童文学の名作。
著者等紹介
ウィーダ[ウィーダ][Ouida]
1839‐1908。イギリスの女流作家。本名はMarie Louise de la Ram´ee。20歳で創作活動を始め、ウィーダ(Ouida)というペンネームで多数のロマンス小説を出版、人気作家となる。のちにイタリアに移住。ベルギーのフランダース地方を舞台にした『フランダースの犬』は、実際にアントワープ地方を旅行して、その発想を得た
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
16
言わずと知れた悲劇。17世紀、階級分化が進み、農村共同体が崩壊したフランドル地方で、貧しい農夫の子供と彼に救われた犬が餓死する物語で、初学者向けに書き直された英語で読んでも悲しさに耐えられなかった。子どもの頃、再放送のアニメで見たことがあったが、大人になってから読んでみると、資本主義の先進地帯だったフランドルの農村での現実が、この物語にはあるもんだと確認できた。絵を描くという能力のみでしか希望が見いだせない主人公や、拾った財布をネコババできない私有財産制度の徹底など資本主義の非人道性に溢れた物語だった。2022/11/13
空猫
12
YL:3.9, 12,470 words, 97 min (129 w/m). The poor remain poor throughout their lives because they were born poor. They have little or no chance to change their lives. It is a fault of the rich who made the social system.2018/04/11
fusarian
7
読み始め1〜2ページですでに目頭が熱い。終盤はもちろん涙で文字が霞むが、ページを進める指は加速する。淡々と物語る語り口だが、ネロとパトラッシュの健気さ、純真さが心を鷲掴みにする。子供の頃はアロアの父親の無慈悲な行動に憤慨したが、今読むと大分と違う気持ちにもなる。ネロに対し、彼は乞食なんだからと自分に言い聞かせている場面が、本当はネロを認めてあげたいのでは?と葛藤しているようにも見えてくるからだ。ネロのささやかな願いが一瞬だけ叶えられた場面を救いだと、本当の意味で受け止められる日は来るのだろうか。2023/07/14
コナロロナ
7
やっと読みきった!めちゃくちゃ達成感。レベル低いし、知っている話だから余裕かと思ったけどちょうどいいくらいの難易度。"Let us lie down and die together"よくよく考えてみると、児童書のわりには救いのない話ですね。2019/12/03
ぶどう
5
英語多読41冊目12470語。合計286983語。図書館本。フランダースの犬は、はじめて読んだがとても悲しいストーリー。でも、主人公のネロの気持ちは痛いほど分かる。また、愛犬パトラッシュと深い絆で結ばれていて感動の物語でした。心を動かされて読了した。2024/02/01