内容説明
民俗学者柳田国男の裏側にかくされた文学者の実像とは?その作品を「文学」として読み説き、近代文学者としての柳田の足跡を、日本の近代文学史の動きを背景としながら具体的に検証する。
目次
『遠野物語』について
『海南小記』について
『雪国の春』について
『木綿以前の事』について
『豆の葉と太陽』について
柳田国男と旧派和歌
柳田国男の新体詩と詩的散文
柳田国男の二十歳代
柳田国男と島崎藤村
柳田国男の昔話研究
文学者柳田国男の昭和前期
柳田国男の魅力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
9
「柳田とハイネの関係を示す資料の中に、ハイネの政治的立場に言及したものは、見出すことができない。柳田のハイネ受容吏上の特質は、ハイネの全業績中では余り重視されていない『流刑の神々』を二十歳代に読み、それをひとり問題にした点にあった。柳田が『諸神流竄記』と呼んで『流刑の神々』を最初にとりあげたのは、談話筆記「幽冥談」においてである」幽冥教は国民の性質と歴史に関係がある「柳田民俗学はこの柳田三十一歳の時の「幽冥談」を以て出発点とする。二十歳代の柳田の諸文章には、この自覚がまだ表面に出てきていないからである」2021/01/11