内容説明
ロシアの侵攻まもない街で、市民に何が起こったのか。戦場ジャーナリストがみた「戦争のリアルと世界の未来」
目次
序章 ロシアのウクライナ侵攻を、なぜ許してはいけないのか
第1章 二〇万人の避難民を受け入れた市民たちの戦い―国境の街リビウ
第2章 空襲警報と砲撃のなか、ウクライナは一つになった―首都キーウ
第3章 ロシア軍の市民を狙った破壊と殺害の現場を見た―「ブチャの虐殺」
第4章 ジャーナリストとして、現地取材に思う
第5章 現在の戦況と六年前の東部ドネツク取材
第6章 歩いてきた戦場との比較から―佐藤和孝の眼
著者等紹介
佐藤和孝[サトウカズタカ]
1956年生まれ。ジャーナリスト、ジャパンプレス主宰・山本美香記念財団代表理事。24歳よりアフガニスタン紛争の取材を開始。その後、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、アメリカ同時多発テロ、イラク戦争などの取材を続け、2003年にはボーン・上田記念国際記者特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かずりん
12
戦場へ行くジャーナリストの勇気、命懸けの使命感にはいつも頭が下がる。独裁者の弱肉強食論理で踏みにじられていく。兵力差よりも大切な兵站そして士気。プランターでタマネギを栽培する。死と隣り合わせの現場でも食事はする。ほのぼのとした日常生活のひとコマだ。胸が詰まる思いがする。普通の国民の生活がそこに息づいている状況を決して忘れてはいけない。ロシア軍事戦略研究家で定評の小泉悠氏の著書に加え本書を合わせて読むとウクライナ状況がグッと近づく。
好古
3
9年前の2014年、ロシアがクリミアを併合したことを知ったとき、私はそれが現在進行している事態の始まりだとは想像もしていなかった。本文中でもある通り2022年2月24日は"世界史が変わった"瞬間であったと思う。まさか21世紀に主権国家同士が正規軍を動員して衝突する20世紀以前の戦争が起きるとは思っても見なかった。そして欧州諸国が「72時間でウクライナは消滅する」と悲観とも利己主義的な切り捨てとも言える見通しを立てていたにも関わらず、開戦から1年を経た今もウクライナは頑強にロシアに抵抗し持ちこたえている。2023/04/09
dexter4620
2
2022年4月の戦争初期に現地入りした日本人ジャーナリストによる手記。空港占領下のキーウや解放されたばかりのブチャ、イルピンについて記している。2014年のクリミア紛争やアフガニスタンでの経験をもとに、戦争は悪と筆者は断じる。2023/10/07
はぽぽ
2
ウクライナの戦場に赴き、戦地の現状を伝えるジャーナリスト。歴史を教える身として本物を教える必要があるが、その難しさを感じる日々。この本が本物と断定できるかは判断できる立場ではないが、純度が高い歴史を教える必要性について考えさせられる。2023/01/09
totssan
1
近々はイスラエルねた中心の報道になってるが、ウクライナの状況も相変わらずまずい。歴史的経緯も少し交えながらの現場ルポを読む。短期終結かと思いきや、ずるずると長期戦になってしまっている。第3次大戦に繋がるとの懸念を著者は持つが、ほんとにそんなことに、10年戦争になってしまうのかが心配。ちゃんと状況を把握せねばと強く考える。2023/11/04