内容説明
現在の横浜市域は、かつて武蔵国都筑郡・久良岐郡と武蔵国橘樹郡・相模国鎌倉郡の一部から成っていた。当地は二俣川合戦、和田合戦などの舞台となる一方、執権一族の金沢流北条氏が称名寺や金沢文庫を創設し、叡尊・忍性などの高僧や兼好などの文化人が訪れて、東国における文化の一大中心地ともなった。本書は、当地に関連する秩父平氏諸氏や、山内氏、長尾氏、佐々木氏など相武の大地で活躍した武士たちの消長を追いつつ、荘園・郷村・寺社などの変遷や市域に所領を持った武士たちにも言及し、鎌倉幕府との関連を踏まえながら、歴史資料をもとに鎌倉時代の横浜市域とその周辺の全貌を描き出す。
目次
第1章 院政期の市域の武士と荘園公領制
第2章 鎌倉幕府成立と市域の武士
第3章 頼朝死後の御家人間の争い
第4章 金沢北条氏・称名寺と叡尊・忍性
第5章 蒙古襲来から鎌倉幕府滅亡
第6章 市域内に所領を持つ武士
著者等紹介
盛本昌広[モリモトマサヒロ]
1958年横浜市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。東京都立大学大学院修士課程修了。「日本中世の贈与と負担」で中央大学博士(史学)。専攻は日本中世・近世史。神奈川大学、慶應義塾大学、中央大学などで非常勤講師を務めた。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tadashi_N
13
鎌倉殿の13人と、もっとたくさん。2023/07/19
フランソワーズ
6
横浜市域で活動した武士たちを考察。大武士団のような人物はいなかったから、あまりエピソードがありません。その分、合戦や幕府との関わり、当時の所領の支配や寺社との関係など、新書ではあっても結構本格的。そして今日、港町横浜のイメージがあるけど、かつては兵どもが一所懸命のために駆けずりまわっていたのだなと思うと、感慨深いものがあります。2022/10/23
チャゲシン
2
横浜市域には鎌倉時代にはどんな武士がいたか、どういう経緯で領地を与えられたか、という資料。ミクロな部分を知ることにより、より時代の理解がすすむかと2022/04/30
イツシノコヲリ(丹波國)
1
横浜市域の武士について時代別に述べられています。荘園とか寺社も絡めて考察されているが、土地勘がない人間にはあまりしっくりこない。叡尊が建立した新清凉寺や六浦の景観や漁業禁止令など新たに知れたことは多くあった。2024/03/06