内容説明
明治二十年(一八八七)十月十七日、共用栓からほとばしる水を見て、横浜の住人は歓声を上げた。英国人ヘンリー・S・パーマーの設計・監督による、わが国初の近代水道が完成したのである。パーマーは横浜築港、横浜船渠なども手がけ、その業績は数多く、科学者としても活躍したが、条約改正問題に絡んで、『ザ・タイムズ』の東京通信員としても重要な役割を担っている。本書は、パーマーの孫にあたる著者が、二十年にわたる調査研究の成果をもとに祖父パーマーの事績を跡づけ、その多面的な人間像を描き出したものである。
目次
第1章 生い立ちから正式来日まで(王立士官学校に学ぶ;王立工兵隊員としてカナダへ;陸地測量に従事;シナイ半島探査行;金星の太陽面経過観測;バルバドス島駐屯時代;香港駐屯)
第2章 技術者として(横浜水道の建設;横浜築港;横浜船渠株式会社用ドック;御坂サイホン;王子製紙工場内浄水設備の設計)
第3章 ジャーナリストとして
第4章 天文学者・自然科学者として他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
2
ヘンリー・スペンサー・パーマーは、明治期の御雇外国人のひとりで、横浜の近代水道の父として知られる。 著者は、パーマーのお孫さん。祖父についての調査にとりくんでおり、数冊の関連書がある。 本書は、パーマーの人生を通覧し、さらに近代日本のなかでどのように位置づけられるかを、同時代の証言などをもとに検討したもの。 その出自や経歴、仕事がよくわかる。 いかに水道事業において誠実につくろうとしたかも。 『ザ・デイリー・ニューズ』『ジャパン・ウィークリー・メイル』などにパーマーが執筆した記事の紹介も。2025/10/09




