出版社内容情報
風土が画家の中に形成するものを追求し、近代日本美術史に異彩を放つ萬の画業を美術家が描き出す。
内容説明
キュビスムとフォービスムを日本の土壌で独自に消化し、近代美術史に画期的な画業を残したとされる万鉄五郎。だが、晩年の8年間を過ごした神奈川県茅ケ崎で描きまくった南画は、一体なんだったのか…。この異貌の万に出会って以来、盛岡生マレ著者は、風土が画家の中に形成するものを追い求め、万の郷里・岩手県土沢の〈気圏〉を、同郷人の感覚で捉え、茅ケ崎へも何度か足を運ぶ。そして、〈桑園のある風景〉という共通項を探り当て、両地が“一本の赤い糸”で結ばれていた、と確信するに至る。本書は、美術家・村上善男がペンで描き出した、もうひとつの万鉄五郎像である。
目次
第1章 土沢と万(土沢;少年期・水彩へのめざめ・民俗;郷土と画家・勝平得之と万鉄五郎;桑畑 土沢;素香)
第2章 茅ヶ崎と万(茅ヶ崎南湖;桑畑 茅ヶ崎;八雲神社柳島あたり;アトリエと写生の日々;万の弟子・原精一)
第3章 描かれた湘南(その油彩を中心に;その水彩を中心に;その南画〈墨画〉を中心に)