内容説明
明治5年(1872)5月、横浜に上陸した黒衣の一団があった。メール・マティルドと4人の修道女である。プティジャン司教に招請され、初の来日修道女として、憧れの国に第一歩をしるしたマティルドは、休むいとまもなく、孤児の救済・女子教育など、サン・モール修道会の精神に則った事業に尽瘁した。まず横浜に、仁慈堂(孤児院)、横浜紅蘭女学校(横浜双葉学園の前身)を設立し、さらに東京へ進出した。本書は、著者がとくに閲覧を許されたパリ・サン・モール修道院秘蔵の資料などをもとに、マティルドが近代日本に果たした役割とその97年の生涯を、敬愛の念をこめてつづったものである。
目次
第1章 生まれながらの修道女
第2章 サン・モール修道会の成り立ち
第3章 マレー宣教の大任
第4章 キリシタン迫害とプティジャン
第5章 憧れの宣教地日本へ
第6章 横浜に礎を築く
第7章 東京への進出と築地教会
第8章 静岡サン・モール修道会
第9章 晩年の輝き
第10章 貧しい者の柩の中に