内容説明
明治10年に来日したエドワード・S・モースは、東京大学の初代動物学教授にむかえられ、わずか2年たらずの間に、近代化へ向けて歩みはじめたばかりの日本に、驚くほど多方面にわたって、大きな影響を与えた。その巨大な足跡の全容を、内外の同時代資料をもとに、初てめて明らかにし、あわせてその生涯と人間像を描き出す。
目次
問題児エドワード
カタツムリが取りもった縁
アガシーとの出会い
アガシーとの決別
シャミセンガイと進化論
日本への第1歩
東京大学との契約
江ノ島の臨海実験所
大森貝塚の発掘
報告書『大森貝塚』の刊行
プレ・アイヌ説をめぐって
一時帰国の途に
モースという人
東京大学生物学会
進化論事始め
『動物進化論』の出版
社会ダーウィニズム
キリスト教への打撃
進化論の受容
陶器との出会い
日本との別れ
三度目の訪日
陸路、関西へ
日本からヨーロッパへ
民族学者モース
1883年―1901年
1902年―1925年 〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
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モースの日本での日々について詳細に調査した研究書。 従来の憶説や伝説を排し、「真実の姿」を示してくれる。 来日の経緯、大森貝塚の発見、人肉食説をめぐる問題、腕足類の研究、日本の民芸へのまなざしなど、総合的に描き出されているのが素晴らしい。 とくにモースが大森貝塚で食人の痕跡を発見したと発表した件については、アメリカでの議論の背景、『ネイチャー』での否定派との応酬、日本国内での反発など、きちんと整理されており、よく理解できた。 モースを知るには、まずこの本を読まなければならない。2018/01/09