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内容説明
ワイン発祥の地として知られるがジョージア文学の歴史も古い―5世紀初頭には文字記録が始まる独特の文字は連綿と綴られてきた。20世紀に活躍した作家6人を厳撰、各2篇計12篇をジョージア語から直接翻訳して紹介する初の短篇集。
著者等紹介
児島康宏[コジマヤスヒロ]
1976年福井県生まれ。東京大学大学院修士課程修了(言語学)。日本学術振興会特別研究員、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員、在ジョージア日本国大使館専門調査員などをつとめる。東京外国語大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
22
ジョージア(グルジア)語の翻訳家児島康宏氏が、20世紀初めからソヴィエト連邦時代にかけてジョージア(グルジア)文学を担った作家の中から6人を選び出し、それぞれ2篇ずつの短編小説を訳したという短編集。豊かだが厳しい自然、土の匂いと木の香り。どこまでも続く空とその下で暮らす人々。人間くさくて率直で、やさしいがちょっぴりずるくて、夢見がちでそのくせとても寂しがり屋で、せつないぐらい哀しいひとたちの物語。また1冊、大切に思う本が増えた。 2021/11/08
きゅー
11
20世紀初めからソヴィエト連邦時代にかけてのジョージア文学を代表する6人の作家を取り上げ、それぞれ短編2篇を収録した一冊。全体的に個人と社会、他者と自分との関わりにおける道徳的な問題を取り上げているものが多いように感じた。ロシアという大国に睨まれ、多様な人種が暮らすこの国ならではの思いがあるのだろう。読者の好みもあると思うけれど、自分はノダル・ドゥンバゼの「HELLADOS」を推したい。邦訳で出ている『僕とおばあさんとイリコとイラリオン』も大好きなので、この作家が自分には合うようだ。2022/04/07
宮月中
3
(1/3)グルジア語の話者は日本では数えるほどしかいないそうだ。こと修辞の多い文学となると、いま日本語で読めるのが奇跡のようにも思える。こういう本は機会を逸すると永遠に再会できない。店頭で見つけ、買い支えねばと思い購入した。なじみの薄いコーカサス地方の土地柄や風習、感性、歴史に興味が尽きない。本書収録の12作品はジョージアの帝政ロシア期からソ連時代にまたがって、いずれも国家と生活の変化が色濃く反映されている。貴族の没落、民の移動、伝統の衰退の中、そこに確かに居た人々を強く意識させられる。⇒続2024/12/29
かやは
2
1908年から1984年までのジョージア文学の短編集。車が荷担ぎを、工場が職人を消していった時代の物語。時間はどんどん圧縮され、物の価値も段々安くなっていく。ジョージア文学は5世紀から文学があるということで、8世紀である日本よりずっと古い歴史を持つことを知った。アゼルバイジャンとゆかりが深く、ロシアの影響を強く受けている。 貴族が農民になり、農民が貴族になるという歴史は日本にはないな、と思った。日本から見たら遠く小さな国にも、独自の文化があるという当たり前のことに気付かされた。 2021/10/31
ポレポレ
0
20世紀初頭からソヴィエト連邦時代にかけてのジョージア文学作家6名の短篇小説をそれぞれ2篇ずつ収録。 群集心理の描写がすごいミヘイル・ジャヴァヒシヴィリ「悪魔の石」と、ミステリーやスリラーのような趣きがあるコンスタンティネ・ガムサフルディア「大イオセブ」が私のお気に入り。 ★★★★☆2023/02/22