著者等紹介
ファンテ,ジョン[ファンテ,ジョン] [Fante,John]
1909年、コロラド州デンバーにて、イタリア人移民家庭の長男として生まれる。1932年、文藝雑誌“The American Mercury”に短篇「ミサの侍者」を掲載し、商業誌にデビュー。小説の執筆のほか、ハリウッド映画やテレビ番組に脚本を提供することで生計を立てていた。1983年没。享年74歳
栗原俊秀[クリハラトシヒデ]
1983年生まれ。翻訳家。2016年、カルミネ・アバーテ『偉大なる時のモザイク』(未知谷)で、第2回須賀敦子翻訳賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
123
裏表紙には不穏な事が書いてある。ミステリーか、破滅的な話か、そこに犬はどう関わるのか、など考えながら本を開くと、全然違うタイプのストーリーが飛び込んできた。舞台はLA~サンタモニカあたり。原題は『My Dog Stupid 』Stupidは犬のことでもあるし、出てくるみんなもそうだし。最初の20ページはもう何度も吹き出しそうになる、バカバカしくて、ハートフルで、なんか切ないオススメの作品。2020/05/17
南雲吾朗
67
家族の愛の物語りっと書くと、すごく美しい物語りに聞こえてしまうが…家族を作り、生活する事がどれほど大変でエネルギーがいるか、まさに「愛」が無ければ出来ないっという印象を受けた本。とにかく子育ては大変である。私も、よく父親に「一人で大きくなったような顔しやがって!」と言われて親子喧嘩をしていたが、自分が親になってそういう父親の気持ちが凄く理解できた。ファンテは脚本家だけあって、明確な映像が浮かびやすい文章を書く。読みやすい軽快な文章の中にも美しい表現が埋め込まれている。読んで良かった。良書である。2020/04/11
ちゅんさん
45
犬小説が偶然続く。こちらはとてもよかった。あまり洗練された感じがなく(失礼)だけど読みやすい、主人公が痛々しいけど笑える。家も車もあって妻も子供たちも多少問題はあるものの健康。これになんの不満があるのか私にはわからないが家庭を持って子供を育てるのはそれだけ大変なんだろうな。ジョン・ファンテは生前あまり読者には恵まれなかったようだ。この作品は映画化される(された?)らしいが映画でも面白いと思う。なかなかいい小説だった。ジョン・ファンテもっと読みたい。2020/05/09
りつこ
40
主人公のヘンリーは4人の子どもを持ちポルシェに乗りそれなりの邸宅に住んでいるやり手の作家兼脚本家。しかし最近は小説は書けずテレビの仕事もやる気満々で臨んでも内容にぞっとして逃げ出したり…家族を棄ててイタリアにトンずらすることを夢見る…まさに中年の危機そのもの。「クソ」と罵りたいような男。時折訪れる優しさにほろりとすると、数秒後(数行後)にはまた「やっぱりクソだ」とげんなりする。ハチャメチャさの中にユーモアとペーソスがたっぷり。面白く読んだけど「なんだったんだ?」という気持ちも残る。なんだったんだ?2020/03/27
あじ
29
スチューピド(バカの意)と名付けた秋田犬と自立しない四人の子供、そして甘やかし妻を養うヘンリー。彼は現役の作家と自負しているが、すでに晩年を送るしけもくな父親だ。そんな彼がシニシズムをユーモアたっぷりにゲスっぷりを盛って、見棄てられない家族に遠吠えを放つ。生前に評価されなかった筆者の名著【大穴本】でした。シャルロット・ゲンズブール主演で映画化、日本公開予定となっています。2020/02/23
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