内容説明
浮世絵師の英泉は北斎を深く尊敬しその筆遣いを「慕倣」したという話が残っている。藤沢周平も同じ気持ちで長塚節の『土』を慕倣したのではないだろうか。慕うからこその模倣の痕跡―藤沢文学味読の新たな可能性を披露する。
目次
序章 『蝉しぐれ』の甘さを引き締める『土』の隠し味
第1章 『土』を踏まえた人物造形
第2章 暗さの表現
第3章 「もの」で書かれる情念
第4章 自然と農村へのまなざし
第5章 貧とユーモア
終章 『漆の実のみのる国』:貧と闘う「文学」
著者等紹介
山形洋一[ヤマガタヨウイチ]
1946年大阪生まれ、東京大学農学部卒、農学博士(応用昆虫学)。世界保健機関(WHO)の専門家としてブルキナファソ、トーゴ赴任、国際協力機構(JICA)専門家としてグアテマラ、タンザニア、インド、ミャンマー赴任、熱帯病媒介昆虫の駆除や地域保健サービス向上に従事。途上国における業務への参考として日本の農村貧困の記録に興味を持ち、長塚節の研究をはじめる。2014年よりフリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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