内容説明
ドイツ留学から帰国し、ほぼ1年の間に発表された三部作/ベルリン=「舞姫」、ドレスデン=「文づかい」、ミュンヘン=「うたかたの記」。日本近代文学第一世代の地位を確立したこの3作品が現代語訳で蘇る。
著者等紹介
森鴎外[モリオウガイ]
本名森林太郎。1862(文久2年)に、硯国鹿足郡津和野で生まれる。本来は津和野藩亀井家の14代典医となるはずだが、時代が明治となって、典医だった森家は没落。大学卒業後、陸軍軍医となって、陸軍省派遣留学生として4年間ドイツに留学。帰国後は小説家・評論家・翻訳家として文学活動を盛んに行なう。また陸軍では軍医総監まで昇り詰め、晩年は帝室博物館総長も務める
荻原雄一[オギハラユウイチ]
学歴:学習院大学文学部国文学科卒業。埼玉大学教養学部教養学科アメリカ研究コース卒業。学習院大学大学院人文科学研究科国文学専攻修士課程修了。経歴:東京学芸大学講師などを経て、名古屋芸術大学教授。俳優座特別研究員兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kanata
17
ドイツ帰りの鴎外の小説3作を現代語に。ベルリン【舞姫】、ミュンヘン【うたかたの記】、ドレスデン【文づかい】と舞台になる都市は異なる。/【舞姫】は高校の教科書で学んだが、現代語で読み、改めて気づくことがあった。10代の頃はエリスが怖い女性に思えたけど、豊太郎の意志薄弱な所が彼女を病に至らしめて苦痛を与え続けているのだと。エリスを置き去りにした豊太郎は鴎外その人と言える面と言えない面がない交ぜになっていて、鴎外のエリーゼ問題をうやむやにしたい意図があるとか。言い訳野郎じゃないか、と憤慨してしまう。2018/06/09
練りようかん
11
ドイツ三部作。現代語訳のため既読の「舞姫」も文体の違いにまず意識がいき、主人公の人間性に関心は集中。すると最後の恨みはどういう心の表れなのか、新たな感想を持てたのが収穫だった。「うたかたの記」は女の子が困っているところを助けてあげる出会いのシチュエーション等類似点は多く、死の描き方の差が印象的。最も興味深かったのは「文づかい」で、童話やオースティンの風味を感じたのが面白い。家や血縁は忌々しくもあり、しかしそこから外れたら一体誰が支えてくれるのか、“生きていく力”が三部作のテーマに感じられた発見が良かった。2025/04/29
マカロニ マカロン
7
個人の感想です:B。先週鷗外の『舞姫』など独逸三部作を岩波文庫(注釈が一切ないので余計意味が取れないところあり)で読んだが、文語体のため、内容を100%理解したとは言えないので、現代語訳で再読した。舞姫はストーリーをしているので、大丈夫だったが、『うたかたの記』と『文づかい』は案の定意味を取り違えているところがあった。荻原雄一さんの現代語訳は適度な意訳で分かり易いが、『舞姫』でが太田豊太郎が自称を「おれ」と言ってみたりして、ざっくばらんな口調で、私のもっている豊太郎像と少しずれが感じられた。2019/07/31
たつや
5
笑ってしまうほど、読みやすい。「うたかたの記」が読みたくて図書館で借りたのだが、あっという間に読了出来た。山田五郎のYou Tubeで日本人画家の回でドイツ留学中の鴎外とリンクしていて、読みたくなった。面白かったです。2024/04/05
はしめ
1
これは面白い。こんなに面白い。うたかたの記はお気に入り。19世紀ドイツにいけるのだ。そこはどこかメルヘンなのに、人間の強さや悲しさが感じられる。読みやすいのが一番。2023/08/30