内容説明
名作の案内人としても名高いサマセット・モームが、アメリカの大都市以外に住む、手軽に文学書が手に入らない読者のために選んだ20世紀初頭の英米短篇46篇から、米国作家の6篇を厳選して新訳!
著者等紹介
小牟田康彦[コムタヤスヒコ]
翻訳家、1940年生まれ、宮崎県(高鍋高校)出身、1965年東京外国語大学英米科卒業、1995年アルスター大学ビジネス・スクール卒業(MBA)、東燃(株)(当時)勤務後学習院大学非常勤講師を経て広島国際大学教授(英語)、国際交流センター長。2011年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
37
モームが選んだアメリカ人作家の書いた短編って、モーム好き、そしてアンソロジー好きにはたまらない。既読は「エミリーに一輪のバラを」だけ。これを初めて読んだのはおそらく大学生のころだったと思うが、あの時の衝撃は大きかった。フォクナー以外もフィッツジェラルド、スタインベック、ヘミングウェイ、ウォートンと有名どころが名前を連ねているが、どの作品も面白い~。全然色あせてないのがすごいなぁ。ヘミングウェイには苦手意識があったのだが、これを読んでちょっと他の作品も読んでみようかなという気持ちに。2018/01/24
くさてる
24
6篇というのが少なすぎると感じたけれど、読みごたえは素晴らしいので納得した気分になりました。この一作!というのが選べないくらいにどれも名作揃いなので、既読の物ばかりという人も多いかも。わたしの好きなフォークナー「エミリーに一輪の薔薇を」があって良かった。初読では、イーディス・ウォートン「ローマ熱」がラストの一文を読んだ時に声が出ました。怖い。2018/03/07
Cinejazz
14
サマセット・モームが編んだ米英の短編集(1943年初版)から、米国人作家の六編が紹介されています。のめり込んで読み耽ったのは、A.ヘミングウェイの『フランシス・マカンバ-の短い幸せな生涯』とJ.スタインベックの『贈り物』でした。F.フィッツジェラルドの『再訪のバビロン』とW.フォ-クナ-の『エミリ-に一輪のバラを』も云い知れね深い味わいを残しました。S.モ-ム曰く、小説はプロットが大事な要素で、読者を驚かすどんでん返しのような予期せぬ展開があるのが良いとし、作品選定基準にしたようです。(県立図書館蔵書)2020/09/05
kankoto
11
好きなのは「贈り物」「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」「ローマ熱」 「贈り物」父から送られた仔馬に対する少年の気持ちの揺れが描かれている。そして最後はずっしりと来る。「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」、ヘミングウェイらしいと言えるのかな。。サバンナの風景が想像され最後の展開にあぜんとなった。「ローマ熱」はちょっとしゃれた感じで面白い。この作家の事は知らなかったので他も読んでみたい2018/01/05
su-zu
7
短編に関してはプロットが大事という信条があったモーム好みの、切れ味鋭い作品ばかり。スタインベックの「贈り物」は少年が仔馬を父から贈られ、愛し、失うまでを、状況を淡々とつぶさに描いている。行間からは少年の心の動きが痛切に伝わり、タイトルも含めて、くさびを打ち込まれたように刺さる。ウォートンの「ローマ熱」はまさにモーム的な作品でこれも実にいい。アンソロジーは苦手なのだけれど、全編モーム一色に彩られているのがいい。久しぶりにシンプルに短編を楽しんだ。2018/02/20