内容説明
大戦に向かって閉ざされていく、20世紀ヨーロッパ。その中で明かされる人々の呻き、嘆き、叫び。ぶつかり合い、すれ違う愛と憎しみ。荒涼の時代の心を巡る珠玉の作品集。表題作ほか8篇。
著者等紹介
ネミロフスキー,イレーヌ[ネミロフスキー,イレーヌ] [N´emirovsky,Ir`ene]
1903~1942。ロシア帝国キエフ生まれ。革命時パリに亡命。1929年「ダヴィッド・ゴルデル」で文壇デビュー。34年、ナチスドイツの侵攻によりユダヤ人迫害が強まり、以降、危機の中で長篇小説を次々に執筆するも、42年にアウシュヴィッツ収容所にて死去。2004年、遺品から発見された未完の大作「フランス組曲」が刊行され、約40ヶ国で翻訳、世界中で大きな反響を巻き起こし、現在も旧作の再版や未発表作の刊行が続いている
芝盛行[シバモリユキ]
1950年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2008年以降、イレーヌ・ネミロフスキーの翻訳に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
111
『フランス組曲』の作家の短篇集。男に捨てられる、裏切られる女の話が多かった。話が唐突に終わってしまう感がある。「アイノ」「魔法」が好み。「日曜日」は若い時なら娘に、今なら母親に共感するんだろうな。表題作は確かに女にとって、愛を知っても知らなくても残酷な話だ。2021/10/19
星落秋風五丈原
28
『処女たち』 不幸な結婚を慰めるはずがいつしか素晴らしい愛ののろけになっている。登場人物たちの感情吐露が激しい。2019/05/18
きゅー
16
本作は後期の(と言っても彼女はまだ30代だが)短編を集めており、どの作品も惚れ惚れとするような質の高さだ。「日曜日」は花の盛りを過ぎた母親と、瑞々しい娘の物語。母は青春を謳歌する娘に嫉妬をするが、娘は母のことを何も知らないお人好しだと思っている。ここでは家族を一つの単位としてみるのではなく、彼らの中に芽生えるわだかまりに焦点が当てられる。そして彼らの諍いをどちらが正しいとも断ずることなく、これまで世界で何度も起きたであろう出来事を、その起きたままに描写する。2018/03/28
erierif
9
初ネミロフスキー。親子、夫婦、兄弟、友人…人と人が出会えば様々な思いが生まれ物語ができる。しかしここまでジビアに人を観察してそれを描くかと少したじろいだ。作者の経歴を見て納得した。落ち着いた描写の中にずっと切迫する不穏さは取り巻く時代のであり作者の身の回りであった。そうした状況から生まれた不快なエゴイズム、ジビアで醜い感情が人を精緻に浮彫りにする。哀しく激しい愛や裏切りや不幸ゆえに生きる価値を教えてくれた。他の小説も続けて読みたい作家。2017/05/21
アヴォカド
8
未完の長編「フランス組曲」が素晴らしくよかった(未完だったことが惜しまれる)ネミロフスキーの、こちらは短篇集。フランスのお嬢様やマダムの生活を描いているのであっても、いつも何か不安や危機感が漂っている。2017/05/22
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