町へゆく道

ギンツブルグ，ナタリーア【著】〈Ｇｉｎｚｂｕｒｇ，Ｎａｔａｌｉａ〉/望月 紀子【訳】

未知谷（2016/07発売）

• サイズ B6判／ページ数 241p／高さ 20cm
• 商品コード 9784896425000
• NDC分類 973
• Cコード C0097

著者等紹介

ギンツブルグ，ナタリーア［ギンツブルグ，ナタリーア］ ［Ｇｉｎｚｂｕｒｇ，Ｎａｔａｌｉａ］
イタリアの小説家、劇作家。１９１６年、パレルモ生まれ。３８年、レオーネ・ギンツブルグと結婚。４０年、アブルッツォ州のピッツォリに流刑となった夫に従う。ここで第三子誕生。４２年、第一作『町へゆく道』。４４年、夫獄死。エイナウディ出版社入社。５０年、英文学者ガブリエーレ・バルディーニと結婚。６３年自伝小説『ある家族の会話』でストレーガ賞受賞。８３年、独立左派の下院議員に選出。９１年、ローマの自宅で死去

望月紀子［モチズキノリコ］
東京外国語大学フランス科卒業。イタリア文学（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[スズコ（梵我一如、一なる生命)]

須賀敦子さんの本で著者の名前が何度か出てきたので、手に取った。ハッピーエンドはなく、常に暗く、孤独がこだまして聞こえるような作品。ストーリーだけであれば、全然新しさも感じない、1940年頃の作品と知れば、少しだけ、おお！とは思う。でも惹かれる文体。潔い語り口だからか、そこからくるリズム感からか。引き込まれて暗くなることもなく、後味の悪さがいつまでも残ることもない。でも、後を引く、孤独感、残念感、失望。不思議と、もっと読んでみたくなった。

2021/07/10

[belle]

｢ある家族の会話｣で知られるイタリアの小説家ギンツブルグの中短編集。登場人物たちは現実の生活にいつも恨みごとを忘れないが、それでも淡々と生きてゆく。｢ヴァレンティーノ｣は家族の期待の弟の名前。｢射手座｣はいつか開きたい画廊の名前。｢町へゆく道｣では若者たちは1時間かけて町へ遊びに行く。それほど楽しい話が書いてある訳ではなく、夢はおおかた叶わない。でも読んでる私は愉しい。後半に短編3つ。自選作品集を二分冊として出版されたこちらは第二集。

2016/08/09

[きうりっち]

よくある話ではないのに、なんとなく自分にも覚えがあるような感覚を呼び覚ます作品群だった。たいていの作品は若い女性が語り手になり、自分の家族の不幸を淡々と、批判するでもなく嘆くでもなく記録していく。どれも暗い話だが、読んでいる間はそんなに悲惨な感じはしなくて、読後感もうっとうしくはない。ギンツブルグの名前は若い頃から知っていたがユダヤ人で第二次大戦前後の時代の話、となると、つい敬遠してしまっていた。作者の人柄か、ある種のさわやかさが好ましい。他の作品も読んでみたい。

2020/05/03

[Mana]

短編の「射手座」が面白かった。ちょっと推理小説っぽいかも。

2016/08/20