内容説明
イタリアへ移住したアルバレシュたち。閉塞した村人の憎悪、記憶と希望の錯綜、世代を超えて繰り返される移住また移住。五〇〇年以上前の祖先の逃走に憧れたアントニオは未来を求めて村を脱出、そして青年ミケーレも村から旅立つ―。アルバレシュの架空の共同体「ホラ」の物語。
著者等紹介
アバーテ,カルミネ[アバーテ,カルミネ] [Abate,Carmine]
1954年生まれ。出生地のカルフィッツィ(カラブリア州クロトーネ県)は、南イタリアに点在するアルバニア系住民(アルバレシュ)の共同体のひとつ。南伊プーリア州のバーリ大学を卒業後、ドイツに移住。1984年、ドイツ語による短篇集『かばんを閉めて、行け!(Den Koffer und weg!)』を発表し、作家としてデビュー(1993年、同作のイタリア語版『壁のなかの壁(Il muro dei muri)』を刊行)。1990年代半ばに北イタリアのトレント県に移住し、現在にいたるまで同地で生活を送る
栗原俊秀[クリハラトシヒデ]
1983年生まれ。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科修士課程を経て、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒(Corso di laurea magistrale in Filologia Moderna)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キムチ
56
「ふたつの海・・」で知った筆者。解りやすく 美しい描写でありながら 時に んん?と唸るような表現が現れる。イタリア作家とは言え 欧州のイスラム国家アルバニア出身。鎖国状態、最貧困ともいわれるその国。南伊へ大挙移民 アルバレシュ自治体が有る。作中 アルバレシュ語・イタリア語・オランダ語など言語/文化の混とん状態が色々語られる。アパーテにおいては混沌~汚濁/過去現在未来のカオスを決してネガティヴにとらえるのではなく単一平面上に存する「時のモザイク」・・それは光を放つ風となって 今を生きる私達に囁いていると語る2022/10/11
ぞしま
19
須賀敦子翻訳賞?それは読まねばと、読んでみることに。流麗な日本語に夢中で読んだ。三つの歴史の相がねじれ繫がり重なり合う様、ホラという共同体、幾人ものパパス……何だかマルケスの『百年の孤独』を読んでいるような気持ちも少し覚えた(ラヒリの小説群も)。移民、越境、という個人的にはかなり好きなテーマでありながらも、どこか入り込めないのは、結果的には、幼いヒロイズム(のようなものに)に堕しているように感じらたから。などと書くと不快に思う人もいるかもしれない……。"偉大"という語は私には分からないということか…。 2016/12/26
belle
6
遠い昔にはトルコ。20世紀末は鎖国政策の独裁国家。脅威にさらされ生まれ故郷を捨て、対岸のイタリアに逃れてきたアルバニアの人々「アルバレシュ」。そんな彼らの過去を掘り起こし現在を語り、二つをモザイクが欠片を埋めるように繋いでゆく物語。行きて帰りそしてまた旅立つ物語。男中心のようでありながら、女の想いが貫いていた。作者アバーテの本は「風の丘」に継いで2作目。アルバニアの古都の風景だという表紙と裏の写真がよい。未知谷の本も久しぶりだ。2016/06/02
ぱせり
5
ホラは風の丘で、一年を通じて強い風が吹いている。人々にとって風は、慕わしいものであるようだ。感じるのは、風の強さよりも、風に嬲られた花々の香り、木々のざわめきの歌だ。今は、この風の谷ホラこそが、この地に育ち、巣立っていく人々にとっての唯一無二の故郷だ。風は、遠い故郷を離れた人々を誘う懐かしい歌だ。2025/03/08
micamidica
5
アルバニア系カラブリア人の共同体であるホラが舞台。アルバニアにあるひとつめのホラからイタリアはカラブリア州にあるホラにやってきた昔の指導者にまつわる物語と、その指導者の末裔(?)のアントニオの物語と、「僕」である語り手のミケーレの物語が絡みあう。おもしろくなくはないけど、好みではなかったかな…。さまざまな体制に踏みにじられてきたアルバニアの人びとの苦悩は凄まじいものなのだろうと想像はできるけれど、なにか伝わってこない感じでもったいないなぁ、と思います。須賀敦子翻訳賞受賞、というのに期待しすぎたかも。2016/12/07
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