著者等紹介
ファンテ,ジョン[ファンテ,ジョン] [Fante,John]
1909年、コロラド州デンバーにて、イタリア人移民家庭の長男として生まれる。1932年、文藝雑誌“The American Mercury”に短篇「ミサの侍者」を掲載し、商業誌にデビュー。以降、複数の雑誌で短篇の発表をつづける。1938年、初の長篇小説となる『バンディーニ家よ、春を待て』が刊行され好評を博す。その後、重要な著作を立てつづけに刊行する。小説の執筆のほか、ハリウッド映画やテレビ番組に脚本を提供することで生計を立てていた。1983年没。享年74歳
栗原俊秀[クリハラトシヒデ]
1983年生まれ。京都大学総合人間学部、同大学院人間・環境学研究科修士課程を経て、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
36
文章のリフレインを意図的に行う特徴のある文章。イタリアの家庭と言えばソフィアローレン演じるしっかりもので逞しいマンマとマストロヤンニ演じるモテモテだが頼りないパパが典型イメージだったがバンディ―ニ家の主は日本版ちゃぶ台ひっくり返す駄目父、星一徹だ。駄目父というあたりでもう星一徹ではないのかもしれない。母マリアもカトリックに傾倒しており、まるで『愛と誠』の愛に生きるお嬢様早乙女愛みたい。両親劇画調の濃い家で育った長男アルトゥーロ(作者投影)の切ない初恋。それでもスパゲティさえあれば春は来る、バンディ―二家に2016/01/22
ふるい
6
寒く厳しく、やり場のない怒りが溜まる冬。しかし、どんな家庭にもかならず春はやってくる。犬の登場であっさりまとまっちゃうラストがいい!それと、マリアが店でなかなかつけ払いを言い出せなくて居心地悪くなる場面がなぜか印象的だった。2017/01/20
7kichi
5
面白くて一気読みだった。ラストの犬が最高だ。「デイゴレッド」も好きだがこちらはさらに良い。2015/05/15
belle
3
3冊目のジョン・ファンテ。今回も期待を裏切らないし、それ以上だった。バンディーニ家は春と父を待つ。雪に閉じ込められた季節を経てすべてが収まることを、母であり妻である~マリアは知っていた~のだろう。貧しくとも神の愛に包まれている。生き生きとした描写も相変わらず魅力だ。2019/08/18
arekcey
0
家に帰り家に帰り、家に帰る外人の身辺に起こるあれやこれや。ご多聞にもれずに僕もブコウスキー経由でたどり着いたファンテ駅である。胸がいっぱいになる読後感を維持したまま、次作、塵に訊け! に行きたいわけだが、行きたいのだが、絶版。おいおいおいおい早く文庫化でも何でもいいから気軽に読める状況にしてくれよ。2016/12/02