内容説明
代表作『ロリータ』の原型。少女の挑発に男は、ここまで身を投げ出すのか?ナボコフ一流の描写が光る中篇小説。ロシア語バージョンからの新訳!
著者等紹介
ナボコフ,ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ[ナボコフ,ウラジーミルウラジーミロヴィチ] [Набоков,Владимир Владимирович]
1899年ペテルブルグの貴族の長子として生まれた。幼時からイギリス人とフランス人の家庭教師に薫育された。十代から詩作を試みる。1914年と1916年に私家版のパンフレットと詩集を出版。1917年、二月革命後にクリミアに避難、1919年、ロンドンに渡り、ケンブリッジ大学に入学。サッカーのゴールキーパーもつとめた。1923年ベルリンに移住。以後、家庭教師をしながら創作に励む。1937年フランスに移住するまで、傑作を次々に発表
川崎加代子[カワサキカヨコ]
早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒。野崎韶夫先生、新谷敬三郎先生に師事、ロシア語、ロシア文学を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
27
光文社古典新訳文庫の『カメラ・オブスクーラ』の新訳。妻子ある真面目な中年男が一目ぼれした小悪魔少女にもてあそばれる話。タイトルの「マクダ」は少女の名前。▼読む度に印象が変わる。最初『カメラ・オブスクーラ』を読んだときは陳腐で俗悪な不倫小説に思えたが、その後読み直したら凝った文体と華麗な技巧で作り込まれた喜劇に、そしてこの新訳を読んだら、運命に翻弄される男女の悲しい恋愛サスペンスに思えてきた。▼たぶんもう一回読んだらまた印象が変わるはずだが面倒なので読まない。次の作品へ進む。2016/03/05
きゅー
16
『ロリータ』の原型ともなる作品。一言で云ってナボコフの作品は隅から隅まで格好良い。お洒落とかスタイリッシュといったものではなく、尖った文章にうっすらとユーモラスな化粧が施してあり、その落ち着いた自信に溢れる様子がいかにも大人(たいじん)然としており、これがすばらしい。物語について言えば、妻子を捨てた男の道行きはどこかで破滅につながるしかない。読者は、彼がここで地獄の底に着いたと思った時でも、さらにナボコフは破滅の底の底へと私たちを引き立てる。彼こそは、私たちの旅のウェルギリウス。感情の地獄の旅先案内人。2014/06/25
桐一葉
0
すごく芸術的な文章。。おそろしい魅力の少女が大人の男性を振り回す、という物語を描くことに優れているんやなー。読んでて何度かざわざわした。堕ちてゆく映像が浮かんだりした。2015/05/28
aki
0
あのロリータの原型のロシア語版からの翻訳というので、手に取ってみた。一言で言えば悪女に手玉に取られ、転落していく男の話。この悪女がまだ幼い少女であるという特異点が、活かしきれていないと思った。だって20代であっても少しもおかしくない。これは現代の日本人の精神年齢が総じて低くなっているからだろうか?この作品やロリータが書かれたとき、少女の限界時期は16歳位だったのだろうか?2014/06/23