目次
我らが教区篇(世話役をはじめとする教区のお偉方;美男牧師補に大難が、老婦人には少難が ほか)
情景篇(ロンドン(朝;夜)
商い変われど、処変わらず ほか)
人物篇(人はさまざま、思いあり;クリスマス、お説教の半分でも守って ほか)
短篇小説篇(ボーディングハウス盛衰記;決断のとき―ポプラ並木通りでのディナー ほか)
著者等紹介
藤岡啓介[フジオカケイスケ]
1934年、東京にて藤岡淳吉の次男として生まれる。早稲田大学文学部露文科専攻。中退。1956年、彰考書院にて『雪どけ』(エレンブルグ、小笠原豊樹訳)、『マルキ・ド・サド選集』(澁澤龍彦訳、全三巻)を企画、出版。同社の慢性的事業不振に対応尽き、やがて閉鎖。筆名にて大衆時代小説を連作。1959年、専門技術誌出版社に勤め、年鑑、便覧、月刊誌を編集。1973年、株式会社インタープレス設立、月刊誌『工業英語』を創刊、1995年、電子辞書編纂、執筆、翻訳を業とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のっち♬
100
駆け出しの新聞記者だった当時20代前半の著者は、短編小説を新聞や雑誌に載せることで作家としてのデビューを果たした。それはごく平凡な市民生活の情景や風俗を絵でスケッチするのと同様の気持ちで、ありのままに描き出そうとする趣旨のもので、人物の戯画化や表現の誇張を巧みに施したよく知られる後の長編小説とはやや趣の異なる内容になっている。ジャーナリストとして活躍した数年間の修練は決して無駄ではなく、その成果が鋭い観察と的確な描写によく現れているし、独特の温かなユーモアや社会の闇への眼差しも既にここに窺うことができる。2018/05/06