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内容説明
1939年のポーランド・ワルシャワ、六歳の少女ヘレナが目にしたものは?
著者等紹介
ルドニャンスカ,ヨアンナ[ルドニャンスカ,ヨアンナ][Rudnia´nska,Joanna]
大学では数学を専攻。子どものためのSFで作家デビュー。その後、竜の父親を持つ十代の少女を主人公とした『竜の年』を発表。この作品はヤヌシュ・コルチャク国際文学賞を受賞
田村和子[タムラカズコ]
1944年、北海道札幌市生まれ。1979年より一年間、夫と子どもとともにポーランドのクラクフ市で生活。帰国後、東京でポーランド語を学ぶ。その後、東京外国語大学とクラクフ教育大学の研究生としてポーランドの児童文学を研究。現在、ポーランドの主にヤングアダルト小説を翻訳している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
29
ポーランド人の父親は幼い娘を連れてゲットーに赴き、この光景をしっかり覚えておくのだと話したという。実在の人物をモデルに書かれた小さなヘレナの目を通して語られる物語は、彼女が見たもの、聞いたことの上に成り立っている。ポーランドが、ドイツが、ユダヤ人が、ナチスが、世界が……といった全体像がわからないからこそ少女は無邪気で、あまりにも無邪気だからこそとてもあやうく、読む者の不安をかき立てもする。とりたてて残酷な描写はないが静かに語られる恐怖が胸をえぐる。 2016/01/19
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
23
第二次世界大戦下のドイツに占領されたポーランドの少女が目撃したユダヤ人ゲットー。いなくなる隣人のユダヤ人達はどうして橋の向こうに行くのか。そこで見たボロボロの人達。実話である。2016/11/06
みなみ
14
ポーランドの児童文学。しかし児童文学だからと大人が読まないのはもったいない。主人公は少女ヘレナ、戦争が始まった時はわずか6歳。ワルシャワに住む一家の父は工場を経営している。工場にはユダヤ人労働者もいたのだが、やがて彼らはゲットーに押し込まれてしまう。両親はユダヤ人を匿ったり逃亡を手助けしたりする。密告する人もいる。ヘレナはその様子をずっと見ている。子どもらしく素直で、子ども故に時にはズレたことを言ってしまう。その何気なさがとてもリアル。創作作品にありがちな作為的な子どもらしさではなく、とても魅力的だ。2022/01/22
橘
7
背表紙の緋色の文字が書架の中で一際輝く。手に取ると表紙も素晴らしい。無垢な少女の目を通して、戦時下のワルシャワを描く。必要以上に情に訴えることなく、だからこそ人々の生き様が際立つ。2015/11/25
杏子
6
わずか6歳の娘に、戦争という惨い爪あとを見せた父。ユダヤの人々を次々と救いだしていこうとするヘレナの父親には感嘆します。戦争という名の現実が、純真無垢な子どもの目にどのように見えたのか…。それが時に幻想を交えた、現実を元にした世界にまざまざと描き出されています。図書館で偶然、手にとり知った本…私も何かに導かれているのかも、と思いました。様々なユダヤをテーマにした物語が浮かびます。2012/03/26