内容説明
激動の幕末―妄信的に攘夷運動に奔走するも幕府側につき徳川慶喜に仕えた若き日の渋沢栄一。生来の好奇心と慧眼、また人との出会いが、日本資本主義の礎を築く巨人へと成長させた。パリ万博使節団に随行し西欧の真髄を知るまでの半生。挫折と苦悩、希望、邂逅、天才渋沢栄一の原点。
感想・レビュー
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森田裕之
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『鞍馬天狗』で有名な作家・大佛次郎が渋沢栄一の若き日を描いた小説。渋沢栄一の生い立ちから徳川昭武のフランス随行からの帰国までがみずみずしい筆致で描かれている。幕末という正に「激流」の時代にありながら、その才覚と柔軟な思考、そして多くの優れた人々との出会いを通じて自らの運命を切り拓いていく様が力強く、清々しかった。「仕事に自らの意欲を持つこと。そこから、いのちが輝き出るのだ。おのれの仕事に情愛を注ぎ入れて初めて、仕事だし事業なのである。心に至誠のある者だけが、その門に入って、独立自由の人となるのだ」御意!2015/05/24