内容説明
新しい時代の女性詩人の代表格として圧倒的な筆力で人々を驚愕させ「女性詩人」のイメージを一変させたツヴェターエワ。第一次世界大戦、ロシア革命、第二次世界大戦…苛烈な時代の栄光と挫折、時代に翻弄されながらも生涯、多くの男性を愛し、別れをスプリングボードに詩へと昇華させ、また女性を愛し、タブーへ挑戦する17年の亡命生活を経て故国ソ連に戻った彼女はなぜ自殺しなければならなかったのか?今を生きる我々を捉えて離さない濃密な女性詩人の一生。
目次
第1章 詩人の誕生
第2章 アルス・アマトリア
第3章 革命
第4章 屋根裏部屋の詩人
第5章 異国にて(一)―ベルリン・プラハ
第6章 異国にて(二)―パリ
第7章 家族の肖像
第8章 詩人の死
エピローグ―あるいは、「母の原稿はどこですか?」
著者等紹介
前田和泉[マエダイズミ]
神奈川県生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、関東学院大、東京外国語大、立教大で非常勤講師を務める。ロシア文学専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
3
図書館本。ロシアゴスキー(語学目的ではなく、三クトペテルスブルグとモスクワ紹介目当てで見ていた)の解説者の先生が面白くて手に取った本。12時に寝るつもりで11時55分にさわりだけと思ったら、最後までいってしまった…翌日廃人。飛ばしすぎて、途中リルケとベルビュ?その辺朦朧としてわかってない。亡命、ソ連への帰国は想像を絶する過酷さに満ちている。逆に、亡命して成功を掴むのがどれほど稀有で、凄いことか。自分の研究対象と裏側の世界で知りたかった名前がここに沢山。誕生10年違うと全然違う運命が待っている。まさに激動。2020/11/02
工藤 杳
1
エモい・・・「死ぬほど書きたい。詩を。それからとにかく何でも」(311)、「チェコに捧ぐ詩」(私は拒否する、352)、「大気の詩」、「血管を切り開いた―とめどなく(…)手を施すすべもなく詩がほとばしる」(324)、リルケへの「新しい年」など。2017/02/15
トム
0
素晴らしい伝記本。脱構築主義に染まりすぎて(?)作家論に対しても懐疑的になっていたが、あまりに面白くて一気読みしてしまった。前田氏のツヴェターエワへの深い愛に裏付けられた抑制された文章がすごい。破天荒な青春時代と対照的な孤独な晩年の記述、そしてあとがきは涙なしに読めなかった。ツヴェターエワのみならず同時代のロシア文壇、ロシア社会の様相を知る上でも有用だと思う。2021/02/16