内容説明
第二次大戦終戦後十年余のある日のこと。語り手のボーイはハンブルクに向かう船上で、奇妙な男に「ネレの物語」を書かないようにと忠告される。だが遠縁のネレはランゲ・ライエ通りに住むごく平凡な十一歳の少女。幼いころ両親が離婚し今は母方のソーニャ叔母さんの居酒屋が家庭代わりで、教員の父親と二人暮らし。久しぶりにその居酒屋を訪れたボーイは「彼女は私と同じで泣くことができない。時代に合っているんだ」と電話で話す黒ずくめの痺せた紳士を目撃する。同じ日ネレの天才的な歌声と踊りに驚嘆した音楽プロデューサーがネレの父親と契約を交わすと、ネレは世界的な大スターへの道を歩み始める。有名になるにつれて、ネレの心は不安定になりしばしば爆発する。『笑いを売った少年』を執筆中のボーイは黒ずくめの紳士が気になりネレが心配でたまらない。ティム・ターラーは良い知恵を授けてくれるのか。ネレの涙を売ったのは誰?痩せた紳士の目的は?何より、ネレは笑ったり泣いたり出来るようになるのだろうか。
著者等紹介
クリュス,ジェイムス[クリュス,ジェイムス][Kr¨uss,James]
1926‐1997。第二次世界大戦の敗戦国ドイツの荒廃した大地を前に、クリュスは若者たちを戦場に駆り立てる不幸を繰り返してはならないと痛感した。そのためには、子どもたちに自分の頭で考えることを教え、寛容と共生の精神を育む必要があると判断し、児童文学の世界に跳び込んだ。1950年ケストナーに才能を見出され『動物会議』のラジオドラマ化に成功。ラジオ、テレビ等で活躍する一方、56年にデビュー作である『ロブスター岩礁の燈台』を発表、ドイツ児童文学賞推薦書に指定され世代を越えて支持を受ける。以後毎年新作を発表し続け、60年ドイツ児童文学賞、62年国際アンデルセン優良賞、64年ドイツ児童文学絵本賞、68年にそれ以前の全作品に対して国際アンデルセン大賞が与えられた。現在ドイツではE.ケストナー、M.エンデと共に3大児童文学作家と遇され、「おはなし丸の船長」と呼ばれて人々に親しまれている
森川弘子[モリカワヒロコ]
徳島県生まれ。広島大学卒業後、1974年東洋工業入社、85年迄独語の翻訳に従事。81~82年ミュンヘン大学に留学、神話学などを学ぶ。90年より人形劇ペポのメンバー。宮沢賢治学会イーハトーブセンター会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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