内容説明
人生の戯画を飄々たる笑いに昇華させた彩り豊かなショート・ショートで、物語の底にユーモアと哀しみと苦渋が漂う。論理的知性と奇抜なアイデア、哲学者=作家としての遊び心が一体化し、思わず読み手を奇想の世界に引き込む。
著者等紹介
ミュノーナ[ミュノーナ][Mynona]
本名ザロモ・フリートレンダー。哲学者で作家。1871年ゴランチュ(ポーゼン)にユダヤ人医師の長男として生まれる。初め医学を専攻していたが、哲学に転じ、1902年ショーペンハウアーの位置づけ並びにカント「純粋理性批判」の認識論的基礎に関する試論で学位取得。ベルリンでミュノーナ、匿名(Anonym)のアナグラムの筆名で詩や短篇を発表、ダダイストたるバーダーやハウスマンとともに雑誌『地上1915年』を計画、シュティルナーの個人主義を旗印にした雑誌『唯一者』刊行。1933年パリに亡命、闘病生活の後1946年パリに客死
鈴木芳子[スズキヨシコ]
1987年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。ドイツ文学専攻・翻訳家。1999年ゲーテ・エッセイコンクール受賞(ドイツ語)。2004年M.ダウテンダイ(日独翻訳)賞受賞
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感想・レビュー
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麻耶
5
哲学者ザロモ・フリートレンダーが筆名ミュノーナを用いて発表した作品の短編集。ミュノーナとは匿名を意味する(Anonym)のアナグラムであるらしい。自ら「カントと道化のジンテーゼ(統合)」であるとしていたように、諧謔的なユーモアや奇想がありつつも哲学的、観念的意味の含まれた隠喩を感じさせる難解な作品が多い印象だった。 「ゲーテ蓄音機-ある愛の物語」辺りが良かった気がする。 2024/09/07
mejiro
1
「やさしい巨人」「息子」「ローザ、警官の美しい妻」「道しるべのネグリジェ」「謎の一団」がおもしろかった。本書で著者を初めて知った。シュールレアリスムの世界は広いと思った。こういう「変」な作品に出会うとうれしくなる。2014/08/17
王天上
0
思いついた冗談をそのまま書き起こしたようなのがあって、そのあたりは楽しめた。風刺にしないのも好感が持てる。でも特にぐっとくる作品はなかった。2012/08/01
きゅー
0
馬鹿げたシチュエーションの中で、登場人物は理性的に行動する。この温度差を楽しむべきなんだろうけど、登場人物のセリフがどれも鼻につくので、いちいち醒めてしまう。楽しみ方が難しい一冊。
すけきよ
0
あらすじは、凄い奇想系で、そられるものばかり。でも、オチが、説教臭いというか、寓意的というか、「結局なに?」というものばかりで、残念ながら好みと半歩ずれてました。2007/10/15