内容説明
199点に及ぶ図版を伴うアフリカ美術をめぐる最初の美学論であり、同時代の芸術における形態、量感、空間の諸関係の基礎を築いた。
目次
絵画的なもの
宗教とアフリカ芸術
立体的空間直観
仮面と変身
黒人彫刻
著者等紹介
アインシュタイン,カール[アインシュタイン,カール][Einstein,Carl]
1885年ノイヴィート生まれ、ユダヤ系。ベルリンで美術史・哲学を学び、小説家・美術史家・批評家として活躍。スパルタクス団蜂起の際にはバリケードに立つ。1928年パリに移住。1936年スペイン市民戦争に反ファシズムの闘士として参戦。1940年ドイツ軍によるフランス占領後、ゲシュタポの手に渡されるのを拒み、ポー川に投身自殺、7月5日のことであった。ヘルツフェルデ兄弟やグロッスとともにダダ雑誌「破産」「糞まじめ」を編集
鈴木芳子[スズキヨシコ]
1987年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。ドイツ文学専攻・翻訳家。1999年ゲーテ・エッセイコンクール受賞(ドイツ語)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
88
アフリカ人によるアフリカ人の像。119点の図版が有用。個々の説明がないので自分で考えざるを得ない。宗教と仮面という視点が鍵かも。2014/06/03
dilettante_k
3
原著15年。後にフランスに渡りバタイユらと『ドキュマン』を編むドイツ人批評家による黎明期のアール・ネーグル(黒人芸術)を論じた小著。日用品に過ぎないと看過されたアフリカ彫刻を、まずは「美術品」と見なして西洋彫刻に対置する。師ヴェルフリン譲りのフォーマリズムに則して分析。黒人彫刻の独自のフォルムに宗教性・超越性を見いだし、その芸術性を称揚する。産地やサイズ、時期などを排した図版は相当豊富ながら選択的で牽強付会と言うべきだが、植民地に対する同時代の進化論的論調を退け、西洋芸術を相対化した試みとして貴重な一冊。2014/08/20