内容説明
掛茶屋や見世物小屋で賑う山の神の祭礼の晩、亮二は祭見物に来ていた山男に出逢った。山男は青年ででもあろうか、純朴なうえにも純朴であった。それがために陥った山男の苦況、偶然通りかかった亮二は彼を救うことになるのだが…十八夜、欠けはじめた月に照らし出される少年と山男とのほのかな友情は素朴な木炭画22点を新たに得て、ほのぼのと心あたたまる一書に結実した。
著者等紹介
宮沢賢治[ミヤザワケンジ]
1896(明治29)年、岩手県花巻市生まれ。盛岡高等農林学校卒。近隣の貧しい小作農民たちの物心両面にわたる救済を期し、1926(大正15)年教員生活に終止符を打って羅須地人協会を設立、農民芸術の振興に邁進する。志半ばにして病を得、1933(昭和8)年早世。享年37歳。盛岡中学在学中より創作に励むが、22歳で初めての童話を執筆、以降、創作と農業指導に献身した。この二つの道は、賢治の短い生涯を貫く重要な柱となる。1924(大正13)年、詩集『春と修羅』童話集『注文の多い料理店』を出版。没後、森荘已池などの努力により賢治の人柄と芸術への評価が高まり数多くの童話・詩集が刊行されることとなる
たなかよしかず[タナカヨシカズ]
1949(昭和24)年、東京都練馬区生まれ。武蔵野美術大学彫刻科卒。銀座空想ガレリア、三鷹子どもの本の店りとる、東浦和ギャラリー季等で個展
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