内容説明
すばしっこい赤狐とのんびり屋の仔牛のささやかな冒険譚。ストイックなものとユーモラスなものが均衡を保つ賢治独特の掌篇。
著者等紹介
宮沢賢治[ミヤザワケンジ]
1896(明治29)年、岩手県花巻市生まれ。盛岡高等農林学校卒。近隣の貧しい小作農民たちの物心両面にわたる救済を期し、1926(大正15)年教員生活に終止符を打って羅須地人協会を設立、農民芸術の振興に邁進する。志半ばにして病を得、1933(昭和8)年早世。盛岡中学在学中より創作に励むが、22歳で初めての童話を執筆、以降、創作と農業指導に献身した。没後、森荘已池などの努力により賢治の人柄と芸術への評価が高まり数多くの童話・詩集が刊行されることとなる
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感想・レビュー
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かりさ
70
黄色いリボンを結んだ仔牛のおどけた表情が可愛らしい。仔牛は赤狐に誘われて柵を抜け出しお散歩へ。やがて辿り着いたお屋敷に入り込み二匹は…。すばしっこくてちょっとずる賢い赤狐と、ゆったり穏やかな仔牛の珍道中がユーモラスで可笑しくて可愛らしくて。この短い物語の中にどれほどの想像の種が蒔かれていることでしょうか。読み手の溢れる豊かな思考によって芽はぐんぐんと伸び、やがて彩りの星を咲かせるのでしょう。宮沢賢治の豊かな感性が伝わって一つ一つの言葉が愛おしくなります。自然を動物を植物を優しい目線で描く賢治の可愛い童話。2017/10/22
ベル@bell-zou
4
【図書館にて】要領いいキツネに置いてかれたけど、なぁんだ、子牛ちゃん、ひどい目にあわないじゃん。そうそう、黄色いリボンを結んでもらって、…って、え?おわりっ?(笑) 版画が素敵です。何回重ねたのかな?モノトーンの美しさですな。黄色いリボンが映えます。2017/07/01
kanata
3
図書館の小説コーナーより。賢治は読んでいこうと思っていたので、大人向け小さめのこのシリーズは嬉しい(絵本は皆、大型だから)。賢治が、赤狐の言うなりになった結果、取り残されてしまった子牛のほうに優しい目線を注いでいることが伝わってくる。騙したやつはどうなっとか、分かりやすいオチもないけど、それがいい。2017/05/14
みこれっと
2
未知谷シリーズ(笑) 読んだことの無い作品でした。でも賢治らしさがとてもよく出ていて瑞々しいお話です。挿絵の版画がとてもいい。2016/10/18
いくっち@読書リハビリ中
2
タンと舌を鳴らす赤ギツネとのんびり仔牛との冒険譚。出版社未知谷が発行する宮澤賢治の絵本は、とてもマニアックな小品を扱っている。たなかよしかずさんによる木版画は素朴で味があり、賢治の世界観にとてもよく合っている。2012/12/15