内容説明
ロシア未来派の超意味詩の魁として名高いフレーブニコフだが、本篇は難解とはほど遠い、読みやすい物語詩。アジアとしてのロシアシャーマンと西欧近代としてのヴィーナスとの恋愛詩とも読み得る。冬の大地を愛し一人暮らすシャーマンの許に、一糸まとわず美しく輝くヴィーナスが訪れる。甘く囁く言葉のヴィーナスの誘いに…凍れるアジアの大地の広がりと人の営みを大きなスケールでミトゥーリチが新たに描く。
著者等紹介
フレーブニコフ,ヴェリミール[フレーブニコフ,ヴェリミール][Khlebnikov,Velimir]
1885年ロシアのアストラハン生れ。ロシア未来派の代表的詩人。ロシア・アヴァンギャルドの運動と呼応しつつ象徴主義の伝統を排し、新しい詩的言語=超意味(ザーウミ)詩を創造した。ロシアの大地を愛し詩人たることを選択した故に各地を漂泊し1922年客死。ザーウミ詩、超意味小説の他、21篇の物語長篇詩を残している
ミトゥーリチ=フレーブニコフ,マイ[ミトゥーリチフレーブニコフ,マイ][Mitourich‐Khlebnikov,May]
現代ロシアグラフィック派の創始者ピョートル・ミトゥーリチと母ヴェーラの第一子として1925年モスクワに生まれる。父母の温かい愛と芸術の指導、ロシア未来派の代表的詩人でもある伯父フレーブニコフの精神的影響などで優れた芸術家となる。作品はロシアの主要美術館はもとより日本、ブルガリア、ドイツ、アメリカ等で収蔵されている
工藤正広[クドウマサヒロ]
1943年青森県黒石生まれ。北海道大学卒。現在同大学教授。ロシア文学者・詩人
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