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内容説明
死をテーマとしたドキュメンタリーフィルムを企画したTVディレクターは治癒不可能な患者ら三人との交渉に成功した。仕事、夫と妻との関係、親の介護、全てを受容せざるを得ない女性の人生や住宅問題などを背景に、「死にはモデルがない、だが死ぬことは人間に起こる真の出来事だ、つまり名前が与えられ、理解でき、描き出せることを示したいんだ」と、三人三様の臨終場面を撮影しようと取材する過程を描く社会派のフィクション。
著者等紹介
イシュトヴァーン,エルケーニュ[イシュトヴァーン,エルケーニュ][Istv´an,¨Ork´eny]
1912年ブダペシュト生れ。薬学部を卒業し手に職を得た上で作品の制作に入る。対ソ戦での捕虜生活や「自由ラジオ」での正直すぎる問題発言による執筆禁止を機会に他者の検閲を自己検閲へと昇華させ、いわゆる文学における雪解け期60年代より社会派作家・劇作家として活発な文学活動を続けた。1979年没
岩崎悦子[イワサキエツコ]
1943年神奈川生まれ。東京教育大学言語学専攻卒業。1968~70年、ELTE(ブダペスト大学)留学。現在、東京外国語大学等のハンガリー語講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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きゅー
7
テレビ局に勤めるコロムは、癌や心臓発作によって死につつある3人の患者を撮影したドキュメンタリー番組を制作しようとする。彼ら3人は今にも死にそうでありながら、そこに死の神聖さは微塵も感じられない。エピローグでは、そのちぐはぐさがさらに強調されている。そこでは、放送された番組に関する批評が取り上げられているが、3人の死は「学習もしたいという要求水準の高い視聴者」たちのための1時間の学習教材程度に扱われている。死の軽さは、取りも直さず人生の軽さであり、彼らの人生の悲哀が否応もなくにじみ出てきていた。2016/06/27
宵子
0
ハンガリーの作家のエルケーニュ・イシュトヴァーンの作品。死というテーマで、ドキュメンタリーを撮影しようとする話。死にはモデルがないから、らしい。ただし、死というよりも人生といったテーマの方がしっくりした。ただ、撮影した二人がどちらも死の間際では死ぬことを恐れておらず、死とも格闘せず、視聴者の望む/予想する死ではないのがミソかもしれない。撮影者が「視聴者が興奮するのは、価値あるものが失われようとする時だ」と言っていたが、≒メシウマなのかなぁ(;´д`)2013/04/30
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