感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちぇけら
22
左手はフレミングのまま放課後に告白をせり蟻の行列。ピロティに音のないあめがさらさらと降りつづいている。すべての水がよそよそしくて、いつもよりちょっぴり冷たい。たとえば海とか。枕も国語の教科書も月明かりも潮のにおいがして、ふられた夜は夏にだかれて10時間は眠った。とけきったアイスキャンディーを、午前2時の向日葵畑につきさすゆめをみた。たぶんほんとうにつきさしたのだ。まだきみは生きているのに、4G回線でつながっているのに、死んだもののたとえとして。月にむかって向日葵はわらっていて、りんりらと鳴っていた。2019/05/15
Koning
17
本棚カテゴリは詩集なんだけど、歌集。現代歌人の歌集は正直読んでないのでなかなかに辛かった(笑)。やはりいわゆる短歌のリズムから外れる歌にどうしてもひっかかってしまうという己の弱さ。とはいえ冒頭の鈴を産むひばりの一連の歌は結構衝撃的でやられちゃった。IIIのあたりでかなりの量を占めるコンピュータネタの歌は正直微妙なとこだけど(汗2015/01/08
U
13
京大短歌会出身の歌人の第一歌集。光森さんは、私の6つ年上で、40台前半の男性(旧仮名遣いだったので、昔の人かと…)でした。中の活字や余白の感じは、好みです。初期の作品にいいなと感じた歌が多かったです[疑問符を/はづせば答へに/なるやうな/想ひを吹き込む/しやぼんの玉に][カーテンに/つつまれて知る/教室の/外(と)でも内でも/あらぬ空間]2022/02/09
mer
12
悲しい歌というよりは哀しい歌。寂しい歌というよりは淋しい歌。好きな歌がたくさんあった。2021/01/21
まみ
9
装幀がとてもきれい。活版印刷の文字がやさしい。歌は、さらっとしている。つかみどころのない青年の感じ。いつか、しんとした気持ちで味わえるようになったら再読しようかな。今はちょっと、かすかなゆれみたいなのを感じるこころもちではなかったようだ。2012/06/28