内容説明
繰り返される日常のなかで痛手を負い、死の海へと引き込まれていった人たちは、それぞれの事情とおぼろげな記憶の中で迎えた最期の一瞬、何を思い、何を見ただろうか?永遠の沈黙に立ち向かい、透明な心で綴られた哀惜の短編小説集。
著者等紹介
早坂類[ハヤサカルイ]
山口県下関生まれ。1990年度ユリイカの新人、第31回短歌研究新人賞次席(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きたくり
1
◎自殺した人たちの、死へ向かう心情・情景を描いた12の短編。たんたんとした詩のような文章にひきこまれた。この本はどの話も結末は自殺なのだと気づいてむしょうに哀しくなったけれど、実際にあった出来事をもとにしているそうなので哀しさは現実だ。「彼らがあの時代の渦の中、どのようにこの世界を捨てていったのか。」というあとがきの言葉がつきささるような小説だった。これからも時々この本を読み返したい、読み返さねば、とふと思った。2012/07/03
しゅんぺい(笑)
1
日本の自殺者が三万人を超える一九九八年からの、実際に新聞で報じられた自殺に筆者が「想像を織り交ぜながら」手を加えて、小説にした短編集。 ところどころ、詩的すぎて読みにくいところはあったが、筆者の想像に頷かされる部分もけっこうあったりする。 いじめの遺書だけが書かれた第五章は、心に刺さった。 人間は、いろいろな理由、それが小さいことに見えるような理由でも自殺してしまうんだなあと思う。2012/01/06
ちゃびたん
0
★★★☆☆
ふっくらおにぎり
0
「自殺」がテーマの短編集。報道を元に創作されたフィクションなので、自殺者本人の葛藤など深い部分にはあえて踏み込まかったのだろう。小説というよりも、言葉の空気を汲む作品だと感じた。なお、この本の印税の一部は自死遺族の会に寄付するとのこと。2012/03/30
ゆき
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人間失格みたいに生い立ち辺りからの12人の生き様と言うか死ぬまでを書いているのかと思った。テーマが重いのに読み応えは軽いので反比例していて気持ち悪い。もっと重く書いて欲しかった。2012/02/14