目次
第1章 太田資正はどこから来たのか―武州大乱前夜を考える(太田潮田系図からみた太田家の出自;太田「道真」資清;太田左衛門大夫「道潅」;道潅の家族;養竹院殿義芳永賢の死;太田美濃守資頼;最後に)
第2章 太田資正と武州大乱―“反北条の岩付城主”の虚像と実像(軍記物の中の資正;虚像の資正;実像の資正「武州大乱」以前;実像の資正「武州大乱」の四年間)
第3章 勢力として見る岩付太田氏(戦国期の支配領域・城館・家臣構成;関東幕注文から見る岩付太田氏家臣;その他の一族・上級家臣)
第4章(現代に残る戦国を歩く(上)―埼玉郡地域の岩付太田氏史跡
現代に残る戦国を歩く(中)―足立郡地域の岩付太田氏史跡
現代に残る戦国を歩く(下)―入間郡・比企郡地域の岩付太田氏史跡)
感想・レビュー
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roatsu
17
日本初の軍用犬使役を始め、北条家の関東支配に立ち向かった反骨の武将として伝わる岩槻城主・太田資正の実像に迫る力作。埼玉県人は北条・武田・上杉に劣らぬ郷土の英雄に関する本として必読では。辣腕を疎まれ主家に暗殺された悲劇の名将である曽祖父・太田道灌を含む源氏の名流・太田家の家譜を辿る第一章は一つの武士の系図を辿る複雑さと面白さを実感させる。資正の事績としては、同時代の文書に関東大破・武州大乱と記録される永禄三年から同七年の対北条氏康の激闘にフォーカスする。長尾景虎(上杉謙信)の第一次関東越山において、武州の尖2020/08/05
Toska
11
戦国武州の名物男、三楽斎こと太田資正の事績について、郷土史家のグループがまとめた一冊。とりわけ、彼の戦いの軌跡を紹介する第二章が良い。反北条を貫いた硬骨漢という虚像を退け、だが何故そんな虚像が流布したかを丹念に追いかけていく。贔屓の引き倒しに終わらない、個人的に好きなスタンスだ。実は扇谷家の再興を企てていたとの大胆な仮説と、これを打ち砕いた謙信の黒さが印象に残った。第四章の史跡紹介も大変な力作。2023/03/28
BIN
7
本邦初の軍用犬を使用したことで有名な太田資正について最新研究含めまとめられた本です。1章は資正までの太田家について、2章は資正の岩付城時代までが書かれており、その後の佐竹家とかについてはあまり書かれてない。第3章は家臣団、第4章は史跡関係です。資正の有能ぶりは信長の野望等で知ってましたが、実績見るとまさに名将ですね。圧倒的な兵力の北条家に対しての孤軍奮闘ぶりが素晴らしい。松山城を守り続けた上杉憲勝も評価されてもいいのでは?と読んでて思った。2021/03/19