内容説明
地中海貿易が広めたペストは、民衆に力を与えた。天然痘は医学にイノベーションをもたらし、蒸気機関が生んだコレラ感染爆発は都市改造を促した。第一次世界大戦が拡散したスペイン風邪は、ナチス台頭を準備した―社会経済史学者による「コロナ後」を読み解くための感染症史。
目次
序章 感染症とぼくらの社会―社会のあり方が感染症を変え、感染症もまた社会を変える
第1章 ペスト―地中海を海上輸送された「黒死病」は、民衆に力を与えた
第2章 天然痘―「消えた感染症」は、医学にイノベーションをもたらした
第3章 コレラ―蒸気機関が運んだ「野蛮な病」は、都市改造を促進した
第4章 インフルエンザ―第一次大戦が拡散した「冬の風物詩」は、ナチス台頭を準備した
第5章 新興感染症―病原体と人類の進化は続く
終章 COVID‐19―「ポスト・コロナの時代」は来るか?
著者等紹介
小田中直樹[オダナカナオキ]
1963年生まれ。86年東京大学経済学部卒業、91年同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学、東京大学)。現在は東北大学大学院経済学研究科教授。研究分野はフランス社会経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
26
コロナ始まってからの本。 感染症の歴史。 ブックガイドが詳しい。 いろいろ読んでみようと思う。 マスクはスペイン風邪で登場。日本は根付いた、が、アメリカはダメだったらしく2020/10/12
takeapple
16
歴史家である著者が感染症の歴史を考えるために、ペスト、コレラ、インフルエンザなどかつて人類に大きなインパクトを与えた病気についての研究書を読んで、わかりやすい概説書を書くと言うテーマ。フランス社会経済史が専門の一流の歴史家が、自分の専門外の歴史を学ぶと言う、普段絶対やってくれない、でもとっても勉強になるスタイルなので、とっても貴重で面白い。ここに載っている本を読んだら面白いだろうなあ。2021/01/25
itokake
13
「感染症×社会」の入門書。ブックガイド付き。ペスト、コレラ、天然痘、インフルエンザと章立てで解説し、これらが社会を変えてきた様子を描く。中学生の娘には難しかった。大人が読むと復習を兼ねた勉強になる。ペストが流行すると衛生状態の悪い農奴が大量死→労働力不足で荘園制度が解体。ヨーロッパ人がアメリカ大陸に天然痘を持ちこみ、住民交代が起こった。20世紀スペイン風邪は巡り巡って、ナチス台頭へつながった。そして今回のCOVID-19。著者は「分散」「バーチャル」がキーワード。個人的にはコロナ禍2年目、慣れが怖い。2021/08/02
Ex libris 毒餃子
8
ゼミの時の先生の本。感染症の社会に与えた影響を論じた本。わかりやすく有名な感染症の影響を解説している。COVID-19が我々の社会をどのように変容させるかは後世の観察に任せたい。2021/09/08
Tomonori Yonezawa
4
【地元図書館】感染症という視点での歴史。といっても、ペスト、天然痘、コレラが主で、インフルエンザ、新興感染症(エボラとかエイズとか)はなんかサラッと過ぎてしまった。▼文中で紹介される本は「なんかキツそうだな」と感じさせるタイトル多し。▼感染症は、その後の社会をどう変えたかのテーマはけっこう面白いんだが、その中身はイマイチ希望が無いw▼さてコロナ、これ書いてる時点でアメリカは大統領選の途中。コロナはチャイナの陰謀という話がぶり返してきましたね。史上初のアメリカの選挙方法を変える感染症になるのかな。2020/11/27