内容説明
バリは魂を売ってしまったのか。プトゥ・スティアは故郷バリを巡る。目にし、耳にする新たな現実を前にして、子どものころからの記憶が鮮やかによみがえる。現在に過去を重ねて、そのずれにバリの変化の有り様を見る。バリは何を失い、何を得たのか。綿密な検証を通して、開発と観光化の渦中にあっても、爆弾テロを経てからも活力を失わず人を惹きつけてやまない、バリの姿が浮かび上がる。
目次
バリへの序章
イ・クトゥット・バンバン・グデ・ラウィとカレンダー―バリの暦と日の吉凶
イ・グスティ・アグン・グデ・プトラのいう履き違え―バリ建築と儀礼用具の変遷
イ・ワヤン・ネサ・ウィスアンダの重荷―火葬儀礼
グルン・テコの病―バリの伝統的な賭博
イ・デワ・プトゥ・カルサ、魔女の影絵師―魔女と妖怪
イダ・バグス・ングラーが、おどけるとき―消えゆく民衆演劇アルジョ
デワ・アユ・プトゥ・ライ、またの名をニ・ルー・スケルティ―民衆演劇トペン、ジャンゲル、ドラマ・ゴンの歩み
第二月のマデ・タロ―バリの現代文学と伝統文学
アナック・アグン・マデ・チャクラの「蜜と毒」―バリ・ポップス
イ・ニョマン・トゴッグの得た褒章―観光事業化される彫刻工芸
パンデ・ワヤン・ステジョ・ネカの試み―バリ絵画と美術館建設
「森のクタ」のイ・グスティ・アドニャ・スブラタ―クタ村の観光問題
ラトゥ・サクティ・パンチュリン・ジャガットの子孫たち―トゥルニャン村の観光問題
キ・パティ・トゥンジュン・ビルーの村の心配―トゥンナガン村の観光化
グドン・バグス・オカ夫人、「グッド・ナイト」―チャンディ・ダサのアシュラムと観光
アッサラーム・アライクム、ヌンガー・イブラヒム―バリ人の名前とイスラーム教徒、キリスト教徒
リニ・ワーユニ、終章として―現代のヒンドゥー教
それから二〇年、バリは変わったが、人を惹きつけるものは今もある―爆弾テロ事件以後のバリ
著者等紹介
スティア,プトゥ[スティア,プトゥ][Setia,Putu]
1951年、インドネシアのバリ州タバナン県プジュンガン村に生まれる。デンパサール記者専門学校を卒業し、1974年に日刊紙「バリ・ポスト」の記者となる。1978年から週刊誌「テンポ」の記者、ヨクヤカルタの支局長、ジャカルタ本局の記者、運営委員などを歴任する。2006年からバリに戻るが、現在もジャカルタに本部を置くメディア・グループ「Tempo」の編集委員を務め、「テンポ」「コーラン・テンポ」等に寄稿。ヒンドゥー教徒の指導・教育にも力を注ぎ、故郷にアシュラムを作り、デンパサールにヒンドゥー教関連の出版社を創設するなど活躍している
鏡味治也[カガミハルヤ]
1954年、名古屋市に生まれる。金沢大学教授、文化人類学研究
中村潔[ナカムラキヨシ]
1956年、東京都に生まれる。新潟大学教授、文化人類学研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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