出版社内容情報
《内容》 未知の領域といってよい脳・神経の分野に,近年分子レベルの研究技術が導入されるようになり,神経系探求への扉が開かれ“分子神経生物学”という新たな分野がここに誕生した。本書は,この分子神経生物学を理解するために不可欠な基礎知識である神経系における細胞の機能と神経発生について,分子レベルの情報を用いて包括的に分かりやすく記した定評あるテキストである。今世紀の神経生理学等の成果をコラムの形で簡便に紹介するとともに,遺伝子操作を含む分子生物学について基本から最新の応用まで解説している。 《目次》 目次1神経系の細胞 ニューロンとは何か?/ニューロンにおける信号伝達/ニューロンの細胞生物学/グリア/神経系におけるニューロンの構築/神経系の発生 第Ⅰ部 神経系の信号 2電気信号 イオンの透過性と膜電位/静止電位/活動電位/シナプス電位/神経伝達物質の放出 3イオンチャンネル 膜のイオン透過性/リガンド依存性イオンチャンネル/電位依存性チャンネル 4シナプスの化学的メッセンジャー 速い化学伝達と遅い化学伝達/神経伝達物質の同定と局在/ペプチド伝達物質の合成と貯蔵/ペプチド生理的作用/新しい神経ペプチド 5神経端末 準備:伝達物質の合成と貯蔵/神経伝達物質の放出とその制御/回復:伝達物質の不活性化と小胞の再利用 第Ⅱ部ニューロンとグリアの細胞生物学 6ニューロンの信号伝達におけるG蛋白と受容体 受容体はGTPによりG蛋白の活性化を触媒する/G蛋白はヘテロ三量体にあり,α,β,gサブユニットは,独立かつ相互に作用する機能をもつ/G蛋白共役受容体:細胞膜を横切り情報を送る/エフェクター蛋白質:セカンドメッセンジャーの代謝を調節する酵素,チャンネル,輸送体である/G蛋白が分枝させるシグナル処理ネットワーク/脱感作:複雑な経路を制御する複雑なフィードバック 7セカンドメッセンジャーとニューロンの機能 環状ヌクレオチド/ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸によって産生されるメッセンジャー/カルシウムイオン/エイコサノイド/脱リン酸化酵素(プロテインホスファターゼ)/多数のセカンドメッセンジャー経路による調節 8ニューロンの細胞骨格 ニューロンにおける細胞骨格の構成要素と集合/高分子の輸送/神経突起の伸長と成長円錐の運動性/ニューロンの極性と特殊化した領域 9ミエリンとミエリン化 ミエリンの構造と形成/ミエリンの機能と神経化の進化/ミエリン遺伝子とミエリンの遺伝学/ミエリン形成細胞の分化第Ⅲ部 神経の発生 10神経系の遺伝子制御 遺伝子制御の階層/転写/シグナル伝達物質としての転写因子/転写因子と神経系の発生/プレmRNAスプライシング 11神経発生の分子レベルでの制御 ニューロンへの分化の決定の分子制御/神経発生における細胞数の調節/神経系における細胞分化のタイミングの制御/パターン形成と,細胞分化の空間的調節 12神経突起の伸長と接続の特異性 伸長の誘導/接続の特異性 13ニューロン-標的間の相互作用 シナプス形成/ニューロン表現型の制御/ニューロンの生と死:栄養因子 第Ⅳ部 ニューロンの複雑な相互作用とニューロンの疾患 14ニューロンの可塑性の細胞機構と分子機構 甲殻類口胃神経節の運動リズム/アメフラシAplysiaの反射経路における短期的・長期的シナプス調節/哺乳類海馬における長期増強 15神経系疾患への分子的アプローチ 神経系の遺伝病/動物モデル/遺伝子治療
目次
神経系の細胞
電気信号
イオンチャネル
シナプスの化学的メッセンジャー
神経端末
ニューロンの信号伝達におけるG蛋白と受容体
セカンドメッセンジャーとニューロンの機能
ニューロンの細胞骨格
ミエリンとミエリン化
神経系の遺伝子制御〔ほか〕