内容説明
無垢と強欲さがもたらしたものは…神の使いのような白象と、人間の強欲さがからみあう烈しくも不思議な静けさをたたえるドラマチックな物語。―「オツベルと象」。無垢な魂がのこしたその林は、深いやすらぎとほんとうの賢さとはなにかを、教えてくれる…。―「虔十公園林」。
著者等紹介
ますむらひろし[マスムラヒロシ]
1952年、山形県米沢市に生まれる。1973年に「少年ジャンプ」への応募作「霧にむせぶ夜」で手塚賞を受賞。漫画雑誌「ガロ」編集部を経て、1977年から著者の代表作となる「アタゴオル物語」の連載が「マンガ少年」誌上で始まる。「アタゴオル玉手箱」シリーズで1997年度の日本漫画家協会賞を受賞。1983年から宮沢賢治作品の漫画化にとりくみはじめ、その業績により2001年に宮沢賢治学会イーハトーブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
132
ますむらさんの絵はいつもほんわかしていて話の内容の割には、印象的にはいいものがあります。アタゴオルシリーズもそうですが、い宮沢賢治のものも猫が主人公になっていますね。それがいいのでしょう。二つの話とも原作で読んだと思うのですが忘れてしまっていて、この本でかなり印象にはのこりました。虔十公園林というのはいいですね。2015/12/08
KAKO
17
心荒む話と心洗われる話の組み合わせ。ますむらさんの漫画が素晴らしいので、話がすんなり入ってくる。巻末のますむらさんによる解説で賢治文学への理解がますます深まる。自分の私欲のために、白象を利用し虐待したオツベル、自然の世界に喜びを見つけ出すのが上手、たいした仕事を成し遂げた虔十、どちらも同じようにあっけなく死を迎える。「賢治の視線の乾きっぷり」言い得て妙だなあと感心。2025/04/20
ochatomo
11
ミキハウスの賢治シリーズとの銘打たれたハードカバー大判コミック 今回はカラーページ無し あとがきで「虔十公園林」の理解が深められてよかった 初出しんぶん赤旗日曜版2014年 2015刊2021/02/15
まえじぃ
11
市の文学館で行われていた宮沢賢治展の物販にて購入。『オツベルと象』は原作は実は読んだことがないのですが、ザバダックの吉良さんの『賢治の幻燈』の中でまるまる語り話として入っていたので、何度も繰り返し聞いていました。どこか憎めないオツベル、でもじわじわと象を弱らせ、抵抗できないようにがんじがらめにして囲い込んで行く様は、語り口が軽妙で誤魔化されそうになるけど、実際はとんでもなく怖いことですよね…2015/09/13
Eiko
7
何度読んでも泣きたくなってしまうのが「虔十公園林」。先日、三島で見てきた「ますむらひろしの宮沢賢治」展(だったかしら)で購入。マンガなので全集で読んだときや絵本で読んだときとは印象が全く違うが、やっぱり心の奥のほうで何かがざわめく。ヒトは信じられるのだと。2015/08/03