内容説明
呉れ呉れも云って置きますが狐小学校があるといってもそれはみんな私の頭の中にあったと云うので決して偽ではないのです。偽でない証拠にはちゃんと私がそれを云っているのです。もしみなさんがこれを聞いてその通り考えれば狐小学校はまたあなたにもあるのです。
著者等紹介
西村繁男[ニシムラシゲオ]
1947年、高知県高知市生まれ。中央大学商学部卒業。セツ・モードセミナーにてイラストレーションを学ぶ。はじめての絵本は、1974年に月刊「こどものとも」で発表した『くずのはやまのきつね』(作・大友康夫 福音館書店)。その後人々の普通の生活を描いたものや、絵本にっぽん大賞を受賞した『絵で見る日本の歴史』(福音館書店)、産経児童出版文化賞を受賞した『絵で読む広島の原爆』(文・那須正幹 福音館書店)など、事実を丹念に追って描く作品を刊行。ほかに児童福祉文化賞を受賞した『にちよういち』(童心社)など、ユーモアとリアリティが絶妙な味わいをかもしだす作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マツユキ
19
ミキハウスの宮沢賢治の絵本。西村繁男さんの絵が嬉しい。子供たちが元気いっぱい。ある目的で茨海の野原を訪れた「私」は、きつねの小学校の参観をすることに…。意外と立派な狐の小学校ですが、授業内容は分かるような…。「私」もよく分からない人ですね。最後に、走って去っていくのが印象に残りました。2024/02/09
のほほん
15
「呉れ呉れも云って置きますが狐小学校があるといってもそれはみんな私の頭の中にあったと云うので決して偽ではないのです』ということで私も頭の中に狐小学校を映してみました。教室の壁が野ばらの垣根とはステキですね。天井がないのも空が見えて開放感がありますね。あっ雨の日は休みかな。頭の中の学校だから大丈夫です。勉強の内容は小学校にしては難しそうです。でも頭の中の学校だから大丈夫です。私も頭の中で休み時間のすごし方を考えてみました。そして、狐さんたちと楽しく遊びました。頭の中で考えたら誰とでも仲よしになれますね。2023/08/06
クラムボン
15
麻生農学校の先生が「茨海(ばらうみ)」という名前の野原に散策に出かけた。目的は火山弾の採集と海岸の植物であるハマナスが生えている噂を確かめること…なのでその人は賢治本人だろう。その時に見た不思議な体験談を語る。キツネがキツネの姿のままの狐小学校を参観したのだ。狐の先生からは「紹介状」を求められる処などは「雪わたり」や「どんくりと山猫」にも似ている。キツネにとっての人間とは、危険な存在でもあるが、しかし人間にも色々な人がいる。賢治にはそのような世界を描いた作品が、一つの大きな塊りとしてあると思う。2023/04/08
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
10
6年生ブックトーク授業。2022/12/16
rapo
9
思いがけずキツネの小学校を見学することになった私は、農学校の教師と名乗っているところから、賢治自身と思われる。ハマナスを探しに行き、迷い込んだ不思議な世界だが、授業の内容からも賢治の自然や動物に対する興味の深さと愛情が感じられた。キツネの生徒たちが元気いっぱいでやんちゃで、とにかく可愛らしい。羽目を外して先生に叱られしょんぼりするところなど、人間の子供にそっくりだ。校長先生は礼儀正しく厳格だが、最後に火山弾をちゃっかり頂戴するところなどは、やっぱりキツネらしい。絵を見ているだけでも楽しく引き込まれた。2023/04/02
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