出版社内容情報
白い炎のように輝くすすきの腹で、嘉十は自分の耳を疑った。
それは、聞こえるはずのない鹿のことばが聞こえてきたからだ!
自然と人との交信が、東北の言葉とともにユーモラスに神々しく語られる。
著者等紹介
ミロコマチコ[ミロコマチコ]
1981年、大阪府生まれ。画家・絵本作家。その圧倒的で伸びやかな画風が注目を集め、国内外で個展を開催。2012年の絵本デビュー作『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)で第18回日本絵本賞大賞を受賞。『てつぞうはね』(ブロンズ新社)で第45回講談社出版文化賞絵本賞を受賞。『ぼくのふとんはうみでできている』(あかね書房)で第63回小学館児童出版文化賞を受賞。2015年に、絵本『オレときいろ』(WAVE出版)で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)の金のりんご賞を、2017年に、絵本『けもののにおいがしてきたぞ』(岩崎書店)で、同賞の金牌を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
56
鹿の行動が興味深かったです。手拭いに気を取られたりするのが滑稽なんですよね。2022/08/30
ヒラP@ehon.gohon
39
先にたかしたかこさんの描いた「鹿踊りのはじまり」を見ていただけに、絵本から受ける印象の違いに驚いてしまいました。 嘉十の忘れた手ぬぐいが、生き物のような存在感を持って、絵本の中心になっています。 鹿たちの行動が滑稽にしか見えません。 宮沢賢治としてはどちらのイメージだったのでしょうか。 2冊を読み比べて、作品がとても印象づけられました。2021/06/09
たまきら
34
読み友さんの感想から。東北の伝統芸能を見に岩手に行き、早池峰山で夫と出会った自分。命満ち溢れる鹿踊りや早池峰神楽を思う時、胸に上がってくる力強いパワーと、独特のユーモアをこの力強い絵から感じました。ただ、文章のタイポグラフィと絵があっているとは思えず、なんだかお互いを高めあっているとは感じられないのが残念でした。2021/06/15
ちえ
34
宮沢賢治さんの話にミロコマチコさんの絵。読んでいるうちに、私も嘉十と一緒にすすき野原で鹿たちの様子に引き込まれているような気分になってくる。天気の良いすすき野原に風がざーっと吹く、ハンノキのてっぺんが青白く見えたり、お日様でかんざしに見えたりする。鹿の言葉が聞こえてくる。幻想的で贅沢な、文章と絵の力。2018/11/24
ベル@bell-zou
27
鹿たちが斑点模様の手ぬぐいを何かの動物と思い込み警戒する様子が愉快。と、いうか私も最初絵を見たとき手ぬぐいが何かわからなかった…(笑)。こっそり鹿踊りを覗いてた嘉十が楽しさのあまりたまらず飛び出す、枠を超える豪快な絵はミロコさんならでは。赤い陽に白く光るすすき野を美しく細やかに描いた反動のようなはじけっぷり。普通の絵本の絵は文章のイメージを膨らませたり補うものだと思うけれど、賢治の文章はそれだけで充分に視覚的な為、ミロコさんの絵は前衛的な舞台で奏でられる音階もテンポも自由な能楽のよう。楽しい一冊だった。2018/12/20