内容説明
「おいゴーシュ君。君には困るんだがなあ。表情というものがまるで、できてない。怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ないんだ。」―楽長に怒鳴られ、深夜までけいめいに練習するゴーシュのもとに、その日から、毎夜毎夜つぎつぎに、動物たちがやってきた…。
著者等紹介
さとうあや[サトウアヤ]
千葉県生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。その後、長沢節セツ・モードセミナーに学ぶ。第六回日仏会館ポスター原画コンクール佳作受賞。1999年『バレエをおどりたかった馬』(H・ストルテンベルグ/作、菱木晃子/訳、福音館書店)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
38
町の映画館の楽団でセロ(チェロ)担当のゴーシュ。でもその腕前は下手で評判。帰宅しては夜な夜なセロの練習に励む中、次々とやって来る猫やかっこう、たぬきにねずみ!この子たちのリクエストに応えるうちに知らぬ間に…動物たちとのやりとりが面白い。かなりかわいそうな仕打ちをされたけど、ちょっと気取った猫が可愛い♡最後、アンコールで猫との思い出の一曲『印度の虎狩』を演奏しておきながら、何で猫には謝らないんだろ〰️。秋の夜長にクラシックを聴きながら読みたい1冊。2020/09/15
南
27
「田園」をBGMに読了。朝まで何日も弾き続けて、演奏会で拍手喝采に。一筋にがんばるところ、短気なところが実在の人っぽかった。2019/10/06
活字の旅遊人
25
この絵は暖かいですね。やはり小さい字で、漢字が多いですが、「なめとこ山の熊」よりは読みやすい気がします。ゴーシュがラストで褒められるハッピーエンド系というのは、大人になった今だと、むしろ宮沢賢治としては違和感かも。先入観はいけませんね。森の動物たちのパワーか。いいじゃないですか。2021/02/06
gtn
24
巧拙だけで音楽の良し悪しは決まらない。2021/07/27
FOTD
12
ここのところ宮沢賢治が気になっている。この話はセロが下手な主人公が、毎晩訪ねてくる動物たちの相手をしているうちにセロがうまくなったという話。カッコウがドレミファを正確に覚えたいと訪ねてくる場面は特に面白かった。カッコウは2音しか歌わないけれど、それがカッコウのドレミファなんだなぁ。喉から血が出るまで練習するのか。ゴーシュも頑張ってほしい。 「印度の虎狩」「トロメライ」改めて聴きたくなった。2020/02/05