内容説明
「まどっておくれまどっておくれ」いつだって、そいつがいうのは、そればかり。わるいことやいやなことは、ぜんぶだれかのせいにする。どんなにしんせつにされたって、ありがたいなんておもわない。そう、それがそいつさ―ツェねずみ。そんなツェねずみが、さいごに、どんなめにあったかって?それはね…。
著者等紹介
石井聖岳[イシイキヨタカ]
1976年、静岡県生まれ。名古屋造形芸術大学短期大学部卒。学童保育での子どもと触れ合う経験などを経て、絵本作家になる。2008年に『ふってきました』(もとしたいづみ/文、講談社)で第13回日本絵本賞及び、第39回講談社出版文化賞絵本賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nyanco
28
悪いことや嫌なことは全部、誰かのせいにするツェねずみ。「まどっておくれ、まどっておくれ(償ってくれ)」と何百回も言い寄る様が恐い。石井聖岳さんだから…と覚悟はしていたが「まどうてくれ」とドアップでせまってくると大人でも本当にビビります…。イソップやグリムにしても、オリジナルは結構辛辣な内容だし子供って残酷だったりもしますが、ツェねずみの姿が見えなくなるラストの1ページ、子供に「ツェねずみは、どうなっちゃたの?」と聞かれて上手く答えられる自信が無いなあ…。2010/01/12
Natsuko
24
宮沢賢治童話村を訪れた友人の紹介で読んでみる。悪いこと嫌なことは全部だれかのせい、親切にされてもありがたいなんて思わないツェねずみ。他の動物や虫、さらには柱、ちりとりにも嫌われる。決め台詞は「まどうてください」。償えという意味で、気の済むまでいつまでも絡み続ける。「よだかの星のラストは救いがない」と友と語り合ったばかりだが、ツェねずみのラストも…これで終わり?というほど呆気なく救いがない。子供に読み聞かせたらトラウマになりそう😅これも賢治の魅力なのか😳2022/07/03
ヒラP@ehon.gohon
23
石井聖岳さんの描くツェねずみの卑屈さが、この絵本の一番の見どころであり、物語を言いつくしていると思います。 いったいどうして、自分に起こったことを、こんなに人に責任転嫁できるのでしょう。 嫌われて当然、自分で自分の首をしめても仕方がないと当然と思えてしまいます。 気づいたときには遅い、ツェねずみの末路が待っていました。 これを他人事と思わず、内省できる人は幸せです。2022/12/04
gtn
21
ツェねずみは政界によくいる。文句ばかり言っているが対案を出さなければ、支持率も上がらない。2021/05/24
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
20
誰よりも被害者意識が強いツェねずみの末路を描いた絵本。読みながらとても嫌な気分になりました。良かれと思ってした好意に対しそのことが原因で少しでも被害を受けたら、ひたすら「まどっておくれ」(償ってくれ)と何十回も付きまとわれる。それじゃあ誰もが近寄らなくなるのは当たり前。その事に一向に気付かないツェねずみにもどかしさを感じます。実に風刺のきいた絵本でした。小説の方も読んでみたい。★★★★2010/05/13