出版社内容情報
◆「ユダヤ人はなぜ迫害されたか?」金持ちだから、手軽なスケープゴートであったからといったユダヤ教と関わりのない理由が言われるが、真因はユダヤ教自体に対する反発であることを、あらゆる時代の様々な例を挙げて説明します。
まえがき
第一部 ユダヤ人はなぜ? その説明
1章 ユダヤ人憎悪の特殊性
2章 反ユダヤ主義(ユダヤ教への憎悪とユダヤ教の挑戦)
3章 反ユダヤ主義の一原因(選民思想)
4章 反ユダヤ主義の一原因(質の高いユダヤ人の生活)
5章 非ユダヤ的ユダヤ人と反ユダヤ主義
6章 その他の反ユダヤ主義の論理
第二部 歴史からの証拠
7章 古代の反ユダヤ主義
8章 キリスト教の反ユダヤ主義
9章 イスラム教の反ユダヤ主義
10章 啓蒙思想の反ユダヤ主義
11章 左翼の反ユダヤ主義
12章 ナチの反ユダヤ主義
13章 反シオニストの反ユダヤ主義
第三部 何をなすべきか
14章 反ユダヤ主義の処方箋はあるか
エピローグ
日本語の参考文献
参考文献
訳者あとがき
まえがき
ユダヤ人はなぜ、これほどまで根深く、これほどまでに長い間憎まれつづけてきたか――この質問をユダヤ人、非ユダヤ人、学者、一般の人を問わず多くの人々に尋ねてみよう。するとスケープゴートが必要だからとか、ユダヤ人は金持ちだからとか、反ユダヤ主義は人種主義や宗教的な頑迷の嘆かわしい例であるとか、反ユダヤ主義は病気にすぎない、などの答えをたぶん耳にするだろう。ところが、驚いたことには、反ユダヤ主義がユダヤ教的な特徴あるものへの反応である、という答えだけは耳にすることがない。
ユダヤ人憎悪、他に例を見ないこのユダヤ人憎悪を一般的な現象として、すなわちユダヤ的背景を切り離して分析説明するのに異議を唱えるために、我々はとうに七年あまりの歳月をかけ本書を執筆してきた。ユダヤ人の歴史を通して最近までユダヤ人が確信してきたことは、ユダヤ人が嫌われてきたのはユダヤ教がユダヤ人を特異な存在にさせ、かつ挑戦的に立ち向かわせたせいであって、ユダヤ人が金持ちだったからとか、手頃なスケープゴートであったからとか、あるいはいわゆるいじめに格好の少数派であるからなどといった、ユダヤ人であることとは無縁な理由によってではないということである。
本書の目的は、ユダヤ人の反ユダヤ主義に関する昔からの理解を実証することであり、ユダヤ人憎悪やその現代版というべき反シオニズムについてのはっきりしたユダヤ的諸理由を否定しようとする現代の試みを論破することだ。ユダヤ人憎悪が他に類のないものであるとの我々の確信を、歴史の考証記録は明らかにしている。他の宗教や民族の名によってではなく、まさに「ユダヤ」という言葉だけが激しい感情をひきおこしている。この憎悪はなぜなのか。この激しい感情におそわれるのはなぜなのか。それが我々が問いただす課題なのである。
我々はアメリカのユダヤ神学校(JSA)の歴史学教授マックス・フォルスパン博士、カリフォルニア大学バークレー校中東研究教授ウイリアム・ブリナー博士、ユダヤ史研究家ギルバート・グラフ博士に謝意を表したい。この三人の学者たちから、それぞれに貴重な助言と批評を頂戴した。また反中傷連盟(ADL)のロスアンゼルス支部のデイビッド・レーラーとミルドレッド・マーカスの両氏に感謝したい。言うまでもなく、本書の史実あるいはその解釈になんらかの誤りがあるなら、我々筆者がその全責任を負うものである。
サイモン・シェスター社の上級副社長で本書の編集長フレッド・ヒルズは、まさになくてはならない助言と一貫して励ましを与えてくれたことを特筆したい。本書の意義についての彼の信念が、この本の出版を可能にさせた。フレッド・ヒルズの補佐ヒラリー・サレスにもお世話になった。簡潔な文体になったのは彼女の見識ある批評と提言のたまものである。
オレゴンや、その他のどこにいようと原稿について忍耐づよく、立派な清書原稿に仕上げてくれたキャシー・ヒップスに謝意を表する。
本書は著者の二人がブランダイス・バーディン研究所でそれぞれに所長、教育部長として勤めた七年間に書きあげられた。研究所の数千人の会員ならびにこの研究所の修学生たちが我々に与えてくれた支援と励ましにもお礼を申し上げる。我々はその中でデイビッド・ウォズニカとパット・ヘイヴィンスの両名には特別に感謝したい。
本書はカリフォルニアで執筆された。ロスアンゼルスのブランダイス・バーディン研究所や、マンモス・レイク、パーム・スプリングにおいてであった。我々はロミーとフローラ・ロスマンにはパーム・スプリングにある彼女たちののどかな静養先を、アイラとベティ・ウイナーにはマンモス・レイクにある美しい山荘をお貸しいただくご芳情をたまわった。思索と執筆に携わるすべての作家たちがこのような環境に恵まれることを願っている。
最後に、ただただジャニス・プレガーに感謝したい。子供のためのユダヤ教の道徳的価値に関する執筆に彼女は没頭していたにもかかわらず、提言や論評、激励の最高の源泉となってくれた。本書を入稿した頃、ジャニスは出産したばかりであった。ジャニスと私(デニス・プレガー)の息子が、本書でとりあげた題目が過去の歴史となった世界で成人することを切に願うものである。
デニス・プレガー
ジョーゼフ・テルシュキン
内容説明
ユダヤ人憎悪の本当の原因は何か?マルクス、フロイト、アインシュタインなどを生んだユダヤ人の業績と貢献は大きい。なぜ優秀なのか?なぜ迫害されるのか?なぜ生き延びるのか?本書は、古代から現代までの歴史を通して語りつつ、多くの「なぜ」に答えている
目次
第1部 ユダヤ人はなぜ?その説明(ユダヤ人憎悪の特殊性;反ユダヤ主義(ユダヤ教への憎悪とユダヤ教の挑戦)
反ユダヤ主義の一原因(選民思想) ほか)
第2部 歴史からの証拠(古代の反ユダヤ主義;キリスト教の反ユダヤ主義;イスラム教の反ユダヤ主義 ほか)
第3部 何をなすべきか(反ユダヤ主義の処方箋はあるか)
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姉勤
ka-ko