出版社内容情報
欧米で絶賛のロング・セラー日本語版
個人も、社会も、国家もモラルある生き方が問われるときに!
ユダヤ教からのメッセージ。
日本語版に寄せて
推薦のことば ハーマン・ウォーク
まえがき
1章 神の存在を疑ってもよいのはなぜか
疑いに対するユダヤ教の態度
なぜ神の存在を前提とする必要があるのか
無神論について
2章 ユダヤ教に律法が必要なのはなぜか
ユダヤ教で「善人」とはどんな人か
ユダヤ律法について
3章 律法を守りながら倫理的でないユダヤ人がいるのはなぜか
宗教的であっても倫理的でないユダヤ人の存在をどう説明するか
宗教的ではなくとも倫理的な人々の存在をどう説明するか
4章 ユダヤ教とキリスト教、共産主義、ヒューマニズムとの違い
キリスト教について
マルクス主義と共産主義の価値観の本質
ヒューマニズムについて
5章 ユダヤ人の役割は何か
6章 反シオニズムはなぜ危険なのか
7章 若者のユダヤ離れは何が原因か
問題はまやかしのユダヤ教にある
ユダヤ的な家庭からのユダヤ離れ
非ユダヤ人との結婚の関係
8章 異教徒との結婚はなぜ問題か
問われるのは民族性ではなく価値観
異教徒との結婚、消極的なユダヤ人
あなたが変わる可能性
異教徒との結婚が子供に及ぼす影響
ユダヤ教は普遍的兄弟愛を信じないのか
9章 ユダヤ教の実践はどのように始めたらよいか
「いいえ、まだです」と言う方法
安息日を守るには
イスラエルとの連帯
ソビエトのユダヤ人への援助
ラション・ハラア
祝祷、祈り、テフィリン
ツェダカー
ユダヤ人学校
ユダヤ教を学ぶ──推薦文献
まとめ──この本で言いたかったこと
補遺 ツェダカー──ユダヤ教の倫理システムの一例として
訳者あとがき
日本語版によせて
本書がこのたび日本で出版されることは、ラビ・ジョーゼフ・テルシュキンとわたしにとって大きな喜びである。我々は、あらゆる文化と社会的背景の異なる国の人々に、ユダヤ教は重要で他に例をみない内容があると確信をもって言うことができる。
ユダヤ教とユダヤ人はおそらく世界でもっとも古い宗教と文化を形成している。西欧の世界観の原点はユダヤ教の中に見いだせる。ユダヤ教は、キリスト教に聖書と神、メシア、使徒たちモラルの価値を与えた。イスラム教もユダヤ教から派生し、ユダヤ教の聖書と神を拠りどころとしている。イスラム教の創始者であるムハマドは、ユダヤ教に強く影響を受けたため、はじめはユダヤ人の聖なる都エルサレムの方向に向かって礼拝し、ユダヤ新年の第一日目、贖罪の日にあたるヨム・キプールなは断食をしたほどであった。
なぜこの少数民族が、これほどまでの影響を世界に及ぼしたのであろうか。その答えは、ユダヤ人の宗教、すなわちユダヤ教にある。本書はその答えをユダヤ人と非ユダヤ人に説いている。
しかし、本書にはもっと多くの役割がある。この日本語版には三つの目的がある。
第一の目的は、日本の読者に生き生きとした、人生の価値を高める生き方としてのユダヤ教を知っていただくことである。多くの日本人はユダヤ人やイスラエルについては知っていても、ユダヤ人を支えているその宗教については知らない。もし、今日の世界において日本人とユダヤ人の存在が重要であれば、この目的一つとっても日本語版の出版は十分に価値がある。
第二の目的は、ユダヤ教の使命を説明すること、すなわち倫理的唯一神教――一つの普遍的な神と一つの普遍的なモラルへの信仰――を広めることである。すべての人が個人、国家、文化を超越するモラルを信じるときはじめて、無垢な人間を殺害したり、拷問にかけることに加担できなくなるのだ。本書が日本の読者を勇気づけ、この目的を達成するために、我々の仲間に加わるよう希望する。
第三の目的は、今は宗教を認めない日本人に、ユダヤ教を受け入れるようすすめることである。ユダヤ教は、聖なる報酬を得るにはユダヤ教にならねばならないとは考えない。ユダヤ教は、神は国や宗教のいかんを問わず、善い人々に報いる野だと考える。しかし、意味ある人生の生き方、あるいは知性と理性を捨てなくてすむ宗教を捜し求める人にとっては、ユダヤ教にそれらを見いだせるかもしらない。一般的な認識と違って、ユダヤ人は今日まで血族集団であったことはなかった。あらゆる異なった皮膚の色をもった、民族の集団から成立しているのがユダヤ人である。
本書を読まれ、さらに興味をもたれる読者には、わたしの考えを知るうえで、わたしが執筆し発行している季刊誌『究極の問題(Ultimate Issues)』をお読みいただくようおすすめする。その中で、個人的な、または世界的な問題に、ユダヤ教と倫理的唯一神教の考え方を応用している。
加えて、一九九一年にわたしは、倫理的唯一神教のためのミカ・センター(The Micah Center for Ethical Monotheism)を設立した。そこであらゆる信仰や社会、生活上の背景をもつ人々が共に活動し、すべての社会でのもっとも重大な関心事、「膳を強め、悪とたたかうこと」をめざしている。それは、技術、経済、政治、スポーツ以上に重要なことである。
『究極の問題』誌とミカ・センターについてはつぎの宛先にお問い合わせいただきたい。
6020 Washington Boulevard,Culver City,California,90232,U.S.A.
最後に、ラビ・テルシュキンとわたしは、本書の翻訳者、松宮克昌氏と松江葦伊佐子氏に心からの感謝を表したい。この翻訳によって、多くの日本人がユダヤ教のよさに触れ、読者のユダヤ教の知識に貢献することで、訳者が報われることを願うものである。
デニス・プレガー
内容説明
欧米の主要なイデオロギー、思想、宗教、モラル、倫理道徳等の根源には、ユダヤ教の影響がある。国際社会に通じる普遍的なモラルの体得が今日本人に求められているとき、ユダヤ教の精神を理解することはたいへん有意義であろう。本書は、戦後生まれの新進気鋭の米国ユダヤ思想家二人がユダヤ教の価値観、世界観、実践の指針について九つのテーマを、簡潔に説得力をもって語る。この分野で世界でもっとも読まれ、ユダヤ教正統派、保守派、改革派がこぞって推薦する数少ない本の一つで、既に古典的地位を占めている。
目次
1章 神の存在を疑ってもよいのはなぜか
2章 ユダヤ教に律法が必要なのはなぜか
3章 律法を守りながら倫理的でないユダヤ人がいるのはなぜか
4章 ユダヤ教とキリスト教、共産主義、ヒューマニズムとの違い
5章 ユダヤ人の役割は何か
6章 反シオニズムはなぜ危険なのか
7章 若者のユダヤ離れは何が原因か
8章 異教徒との結婚はなぜ問題か
9章 ユダヤ教の実践はどのように始めたらよいか
補遺 ツェダカー―ユダヤ教の倫理システムの一例として
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