内容説明
戦争から子殺しまでなぜ男(オス)たちは戦い、傷つけ合うのか。人間の暴力の起源を、生々しいチンパンジーの生態から明らかにする。
目次
第1章 失楽園
第2章 タイムマシン
第3章 密林から疎林へ
第4章 戦争と人間
第5章 幻想の楽園
第6章 気質
第7章 レイプ、そして子殺し
第8章 自由の代償
第9章 遺産
第10章 おだやかな類人猿
第11章 南の森からのメッセージ
第12章 デーモンを制御する
第13章 カカマの人形
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hikarunoir
9
日本猿学者による類書スケールを大きくした感じ。雌チンパンの非協調に呆れつつ、ハイエナ生態と雌の凶暴性に瞠目。種の共食い、子殺しにも触れ充実。2020/12/12
もりの
7
性差は存在する。平等というよりも、それぞれの違いを認めることが大事だと思う。凶暴性は本能でもあるがそれを理性で抑えなければ動物と同じ。2019/11/04
Ein
6
なぜ暴力事件の犯罪者に男が多いのか。なぜ母親が父親に引き摺られて凄惨な児童虐待に加担するのか。なぜ戦争であれほどの人権蹂躙が起きるのか――前々から疑問に思っていた事柄の核心がこの本には書かれている。人類は高い知能を獲得した特別な存在「などではなく」単に高い知能を得ただけの動物に過ぎず、遺伝子的な欲求に絶えず翻弄されている。ただ、そうした人間の社会も徐々に良くはなっている。我々は高い知能と共感能力をよりよい社会を作る為に使うのか、或いは滅びの為に使うのか、遺伝子的欲望を顧みながら考え続けるべきかも知れない。2020/07/21
小谷野敦
3
類人猿学者リチャード・ランガムと、ライターのデール・ピーターソンの共著だが、まあランガムの論をピーターソンがまとめたものだろう。チンパンジーが小型サルのアカコロブスを集団で襲って殺して食う凶暴な動物なのは知っていたが、大人同士で殺し合うのは哺乳類ではヒトとチンパンジーだけらしい。ライオンやクマの雄は、雌が連れている自分の子でない子供を殺してしまい、雌はすぐにその殺した雄になついて新しい子供を産もうとする。動物の世界では、肉食動物は大人より子供を狙うことが多い。 2023/10/03
だんごむし
3
むちゃくちゃ面白かった。 オスが集団で暴力を行使するのがヒトとチンパンジーだけ、という点から始まって、それはなぜなのかを進化学的に考察する理論の流れが素晴らしかった。 でも、読み終わって、ヒトの未来は本当に明るいのかな、とちょっと暗い気持ちになった。2019/01/25
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